第64回日本小児神経学会学術集会のセミナーに参加させていただきました

 第64回日本小児神経学会学術集会の医療安全委員会主催セミナー「学校での特定行為以外の医療的ケア」に話題提供者のひとりとして参加させていただきました。小児神経をご専門とする最先端の小児科の先生方に、学校の看護師の役割について説明させていただくことが私のミッションでした。

 小児神経の先生方は、医療的ケア児の主治医であることも多いと思いますし、学校の指導医を担当してくださっている先生もおられますので、学校の看護師が相談させていただく機会の多い小児科医だと思います。

目次

セミナーのテーマは「学校での特定認定行為以外の医療的ケア」

 このセミナーの主旨は、主には人工呼吸器の児童生徒について、学校での学びの環境を充実させるために何ができるか?ということでした。学校における医療的ケアの制度の変遷や、全国調査の結果報告などのご発表が小児神経の先生方よりあり、そのあとに続いて、指導医の立場で、看護師の立場で、行政の立場での発表が続きました。私は看護師の立場の部分で「学校で働く看護師の役割の充実に向けて~子どもの学びを支える看護の専門性~」というタイトルで説明させていただきました。

👉学術集会ホームページhttps://www.c-linkage.co.jp/jscn64/index.html

学校で働く看護師にとって指示書に書かれている内容は非常に大事

 当然このテーマに関心のある先生方が聴いてくださるだろうと思いましたので、既に何らかのかたちで医療的ケア児に関わっておられる先生方ばかりだと予測し、資料を準備して会場に行きました。折角の機会ですから、看護師の立場として、学校への指示書作成についてお願いをさせていただきました。

主治医あるいは指導医からの指示書は学校で働く看護師にとっては、なくてはならないもので、それが業務の根拠になりますし、指示書なくしては、看護師は子ども達の学びを支えることができません。

なので、例え短い文言であっても、指示書に書かれていることは、大変重要な意味を持っています。

学校への指示書は医学的根拠に基づいた内容で

私は勇気を出して、指示書作成について以下の内容を発信させていただきました。

①指示書に記載する内容は医学的根拠があること

②学校にいる時間帯で実施することに医学的必然性があること

③子どもの成長に合わせて、指示内容を見直し適宜修正されていること

つまり、指示書は医師が作成するものですから、内容には医学的根拠があるということは当然のはずですが、実際に学校に届いた指示書を確認した時に「この記述には医学的根拠はあるのかな?」と思ってしまう内容が含まれていることも、まれにあります。

保護者のご意向をくみ取って主治医(あるいは指導医)として記載されたであろうと推測できますが、学校では学ぶことに時間を使うために子ども達は登校してくるので、学びとの関連性がはっきりしない内容については、学校への指示書に書くことが妥当かどうかを検討していただくべきだと私は考えています。

「指示内容が入学した時からもう何年間も変わっていないんだけど、これでいいのかな…」と感じたことがある学校の看護師は、私以外にもおられるのではないでしょうか?

当然子どもが成長しても指示内容を変更する必要がないケアもありますが、内容によっては、子どもの成長に伴い変化するはずのケアなのに、何故か、毎年主治医(指導医)は確認はしてくださっているにも関わらず、指示がそのまま継続されている、ということもあります。子どもの成長に即した指示に適宜変更していただくことは大切なことだと思います。

子どもの学びに必要な指示とは?それは学校で子どもが学ぶ様子を見ればすぐわかる!

 私自身の経験ですが、病院で主治医に学校での子ども達の生活や教育活動について言葉で説明させていただいても、なかなかイメージが伝わっていないな、と感じたことがあります。もちろん学校にもよりますが、例えば、学校の給食時間は30分程度と短く、あとは掃除の時間になって昼休みになる、など、学校ならではの時間の流れがあります。また、教室の環境を、動画にして見ていただいたこともありましたが、やはり、教室に鳴り響く校内放送の音や、冬の学校の廊下の温度などは、学校に来てこそわかることで、動画だけではどうしても限界があります。

こういった環境が子ども達の学びの場であるということを、主治医(あるいは指導医)が学校に実際に見に来てくださることで、指示書に書くべき内容を具体的にイメージしていただきやすくなるのではないかと思います。

まとめ

 今回、医師の先生方の発表も聴かせていただき、指導医として学校を支援したいと思ってくださっている先生方が沢山おられるということもわかりました。これから、多様なケアを学校で必要とする子ども達が増えてくることが予測されており、看護師も多様な学びを支える看護の実践が求められると思います。そして、そのためには看護師と医師との良好な連携が要になると思います。学校においては、病院のように、同じ場所で一緒に患者さんを見て、その場ですぐに相談することは、なかなかできないと思います。しかし、できるだけ同じイメージで子ども達の姿を思いながら、「医師と看護師が互いに専門性が発揮できている」関係性で仕事ができることがベストなんだと再認識することができました。私は今回の学術集会で大変貴重な体験をさせていただきました。

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