学校で働く看護師と言っても色々な状態があることは何度か私のブログでも取り上げました。
自治体に直接雇用されている方もいれば自治体からの業務委託という形で事業所看護師として学校に入っている方もいます。
今回は事業所の立場で医療的ケアの実施を自治体との業務委託の枠組みで担当している看護師さんにお目にかかってお話を聞かせていただきました。
短い時間でも担任の先生とのコミュニケーションを大事にしています💕
その看護師さんは給食の時間に経管栄養を実施するために事業所から小学校にやってきていました。
決められた時間だけ学校に滞在し、経管栄養を実施します。
以前のブログでも書いたように、こういった運用方法で学校での医療的ケア実施体制を構築している自治体は沢山あります。
今回お目にかかった看護師さんも学校に到着したら経管栄養を必要とする児童が学ぶ教室に向かっていき、担任の先生と話しながら手際よくケアの準備を始めていました。
その看護師さんも多くの自治体と同様に保護者さんが用意された物品を使って担任の先生との連携プレーで経管栄養を実施しておられました。
外部から学校に入って仕事をする上で心がけておられる事について聞かせていただいたところ、その看護師さんは「ここは学校だから、学校という空間や教育の雰囲気をできるだけ崩さなないようにケアを組み込む事を大事にしています」とおっしゃっておられました。
短時間の滞在であっても教育を意識するために「担任の先生とのコミュニケーションを大事にしています」との事です。
確かにその看護師さんは保護者さんが書いてくださった連絡帳の内容だけでなく、担任の先生とのやり取りの中からもその日の子どもの様子を把握し、その上で経管栄養を実施する際の子どもへの声かけなども配慮しておられました。
「学校で看護を提供する」業務について金額としての「価値」をどう考える?
「学校での医療的ケアの実施」そのものを外部に「業務委託」していると言っても細かい部分は自治体によって様々です。
学校の医療的ケア関連業務をまるっと外部に委託しているパターンもあれば、直接雇用の看護師と委託先の看護師と両方混合するかたちで運用している「ハイブリッド」のパターンもあります。
ひとくちに「学校での医療的ケアを実施する看護師」と言っても設定されている業務内容には違いがあります。
なので当然委託先に支払われる委託料の金額設定についても様々です。
業務委託ですから当然自治体が作成する仕様書に基づいて「委託契約」が交わされその中で「委託料」が設定されます。
つまり看護師が学校において「看護を提供する」業務について金銭的な査定?をし価格という単位で技術の「価値」が示されています。
それはまさに看護師の専門的な技術に対する「金銭的な価値」という事になりますので、訪問看護の枠組みにおける医療保険の診療報酬を参考に、それに見合った金額の設定にする事で、自治体の仕様書に対応できると判断している事業所が多い印象です。
しかし実際は「学校で提供する看護」については医療保険などの報酬制度は存在しないので、業務委託の場合はある意味自治体と事業所との間で金額的な折り合いがつけば契約という事になりますから金額が下がっていく「最低の価格」についても正直気になります💦
業務委託の場合は自治体として仕様書をしっかりと作りこむ事も大事ですし、加えて今回お話を聞かせてくださった事業所さんと自治体は日々の業務状況の把握を丁寧にしておられるように感じました。
まとめ
学校での医療的ケアを誰が実施するか?という話は自治体ごとにガイドライン等で明示されています。
ネットで公開されている資料で紹介すると、神戸市教育委員会では「市立特別支援学校における医療的ケア支援事業実施要綱」の中で示しています。
そして最近では学校での医療的ケアを実施できる職種を拡大する事で「保護者負担を減らす事ができるのでは?」という議論がある事も承知しています。
「吸引」や「導尿」というケアの実施者は、もちろん少ないより多い方が医療的ケア児の学びにとっては意義のある事だと考えますが、看護師は学校において看護を提供していますので、看護を提供できるのは看護師だけかなと思います。
では「医療的ケアを実施する事」と「看護を提供する事」は何が違うのか?
学校で看護師が実践している「学びを支える看護」の中身を看護師自身が看護師以外の方々に明確に説明できる状態になっていなければならないと思います。
「学校での医療的ケア実施事業」に様々な事業所が参入し価格を競争?する時代はもうすでに来ていると感じています。
2022年12月19日のブログ「外部から学校を支援している看護師さんたち」👉https://nurse-fight.com/nurse-itaku/