学校で働く看護師には、自治体に直接雇用されている立場と、外部からの委託という立場と大きく分けると2パターン存在していると思います。訪問看護ステーションから学校を支援する事については、過去にも何度か取り上げました。
今回は外部委託という立場で、長く学校を支援しておられる訪問看護ステーションの看護師さんと意見交換をする事ができました。その方が働く地域は「へき地」という事で、地域資源が限られている中で、学校においても在宅においても医療的ケア児にとっては、その看護師さんの訪問看護ステーションは無くてはならない存在として定着しているという事が、お話を伺う中で良くわかりました。
訪問看護ステーションとして学校を支援する
全国各地では様々な方法で看護師が学校を支援しています。自治体が看護師を直接雇用するだけでなく、「学校での医療的ケアを実施する」という業務を外部組織に所属する看護師に業務委託するという形で、運用している自治体もあります。看護師を雇用している外部の法人が、自治体から委託された業務を請け負うかたちで学校を支援する、という方法です。
今回意見交換をさせていただいた看護師さんは、訪問看護ステーションとして自治体からの業務委託で学校での医療的ケアの実施を長く担当してきた方です。看護師としての学校や教員との関わり方などについては、時間をかけて様々な苦労や工夫をしてこられた事がお話の中で伝わってきました。
訪問看護として自宅で行う看護と、学校で行う看護の違いを理解する事や、教員と、どのような内容をどのタイミングで共有すればいいのかといった事は、実際に学校で仕事をしていく中で、何度も試行錯誤を積み重ねてこられたとの事です。更には、これからも維持していくためには何が必要かについても模索しているそうです。
どうすれば継続できるか?
訪問看護ステーションなどに所属する看護師として学校で医療的ケアを実施している看護師さんからお話を伺う機会については、私は今回の看護師さんだけでなく何度かあります。実際の看護師の業務内容や、学校での滞在時間などは自治体によって色々なパターンがあるようです。ひとりの医療的ケア児について、自宅と学校を同じ訪問看護ステーションが担当している、というところもありますし、別々の訪問看護ステーションが担当しているところもあります。また、訪問看護師が学校を訪問する事は医療保険の対象ではないので、業務を受託する側としては料金の話や、訪問回数あるいは1回の滞在時間の話も重要になってきます。
看護師を直接雇用するか?外部に委託するか?あるいはハイブリッド方式にするか?どのパターンであっても、要するに「どうすれば学校への看護師配置を継続する事ができるか?」ここがポイントです。
今回意見交換をさせていただいた看護師さんの地域は、もともと地域資源が少ないという事で、直接雇用よりは、外部委託の方が継続性がある、という判断だったのだろうと想像します。地域の個別事情によっては、地域毎に違いが生じるのは当然です。ある自治体が外部委託で安定的に運用ができているからと言って、同じ方法で、別の自治体でも安定的に運用ができるか?というと、必ずしもそうではないと思います。
地域毎に異なる背景やそれまでの経過があるので、その地域での持続可能な方法について、色々検討していく事が大事なのだろうと思います。
まとめ
以前のブログでも「訪問看護と学校での看護のちがい」について取り上げました。看護師が在宅と学校での看護の目的の違いを知る機会がないまま学校での業務をスタートしている場合は、外部委託の場合も直接雇用の場合も、看護師自身が混乱する時期があるように感じます。
直接雇用の看護師への計画的な研修については、各自治体で取り組みが進んでいますが、今後は外部委託の立場で学校を支援している看護師についても、「学校教育」に関する事や、看護の目的の違いなどについて知識を得る機会が、勤務を始める前か、あるいは始めた直後くらいの早い時期に必要だろうと感じています。
10/27ブログ「訪問看護と学校での看護のちがいって何?」👉https://nurse-fight.com/houmon-gakkou/