中学校で働く看護師の方と、中学生に成長した医療的ケア児と看護師との距離の取り方について意見交換をしました。
小学生の時から支援をしてきた医療的ケア児との事で、中学生になってからは、小学生の時とは、関わり方を少しずつ変えているそうです。
中学生になると、他の小学校から進学して来た生徒さんも加わって、新しい友達関係が生まれます。
医療的ケア児も、周りの子ども達とともに成長しています。その子らしい中学校生活が送れるよう、どこにポイントを置いて看護をすればよいのか?あらためて中学校における看護師の役割について考えました。
医療的ケア児自身が成長しているということを看護師が理解する
意見交換をした看護師さんが担当する医療的ケア児は、医療的ケアの実施については、家庭の協力もあって、ほぼ自立ができている状態との事でした。
中学校の看護師さん 医療的ケア児(Aさん)が自分自身のコンディションについて自分で判断できる部分が増えてきています。小学生の時は、看護師は医療的ケア児から近い距離感にいる事を心がけて、Aさんが安心できる事を優先させて関わってきましたが、中学生になってからは、Aさんと周りの子どもとのやり取りの様子や、友達同士の関係性にも配慮して、出来るだけ距離をあけるようにしています。Aさんの様子からは、Aさんも周りの子ども達と同様に成長していっているという事を実感します。
医療的ケア児自身の成長に伴う言動や態度の変化について教員と共有する
中学校の看護師さん 中学2年生になって、クラスでの自己紹介の場面でAさんは自分のケアの事について、自分の言葉でクラスの子に説明ができていたようです。昨年の1年生の時はまだ、そこまではできていなかったのに、1年生の時より、更に成長している事が実感できたし、看護師としても感動しました。
Aさんが他の小学校から進学してきた生徒とやり取りしている場面で、同じ小学校から進学してきた生徒が、きちんとAさんをサポートしている場面もあり、Aさんと共に、周りの子ども達も成長していると感じました。
これから3年生に向かってしっかりと自立ができるよう、看護師との距離をだんだんと広げて行きつつ、Aさん自身で周りの人達に発信できる環境をつくっていく事を意識していきたいと考えています。
看護師の役割が減っていくことを目指した看護をすることが中学校での看護師の役割
医療的ケア児の状況にもよりますが、小学生から中学生へと医療的ケア児の成長にともない、看護師の直接的なケアから、医療的ケア児自身でのケアに、ケアの実施者が変わっていく場合があります。将来、医療的ケア児がたくましく世の中で生活していけるよう、看護師がフェードアウトしていく事を準備していく看護も、中学校においては必要だと思います。看護師としては「実施すること」が看護だと捉えがちですが、「実施しないこと」も子どもの成長を促す大事な看護ではないでしょうか?
まとめ
看護師であれば医療的ケア児のために色々な事を実施しなければ!と考えると思います。それが看護師の役割だと捉えるのが普通だと思います。しかし、医療的ケア児も中学生になれば、しだいに友達との時間が大切で、もしかすると、そこには、看護師にはあまり登場して欲しくない、という気持ちもあるかも知れません。
中学校の教員はそういった思春期の子ども達の心身の成長については熟知しています。看護師は中学校の教員としっかりと情報を共有しながら、医療的ケア児の心身の成長に合わせて、学校での看護師の役割を変化させていく事も、子どもの学びを支える看護だと思います。
Nurse Fightでは全国の学校で働く看護師のコミュニティ「つながるかい」を運営しています。
「つながるかい」では、学校で働く看護師同士が意見交換や情報交換をしています。他の学校ではどうしているのだろう?知りたい!と思っておられる方は「つながるかい」の輪に入りませんか?
公式LINEでの相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。