以前のPart1に引き続き、私がお話をきかせていただいた、学校で働くハイパフォーマーな看護師さんの匠のワザ編 Part2です。
学校で働く看護師の勤務体制は、特別支援学校や、小中学校によっては(学校の規模や医療的ケア児の人数によっても違いはありますが)2名以上の看護師が一緒に、あるいは交代で、勤務している場合があります。今回は学校で働く看護師の「勤務シフト表」についてハイパフォーマーな看護師さんの匠のワザを紹介します。
同じ学校に複数名で勤務している看護師については、その日に担当する業務や、あるいは個人個人の休暇等を割り振るための「勤務シフト表」が作成されていて、1日に必要な看護師の人数がまんべんなく確保できるように、看護師各自の勤務の計画が、予め組まれている学校があります。そういった学校では、看護師の「勤務シフト表」をつくる、という仕事を、ベテラン看護師さんか、あるいはリーダー的な役割の業務を担当している看護師さんが担っている事があります。もちろん、看護師の勤務シフト表を教頭先生や養護教諭、コーディネーター担当教員が看護師と相談しながら作成している学校もあります。
医療機関や施設では看護師の勤務シフト表を作成するのは看護師長さんだけど…
通常、病院などでは看護師の勤務シフト表は看護師長など管理職の責任において作成されている事が多いと思います。看護師それぞれの卒後年数や、今後経験して欲しい業務内容など人材育成の観点も取り入れ、更には日々が安定的に運営できる事に配慮した上で、看護管理の知識や視点を持っている管理職が行う大変責任重大な業務だと思います。
しかし、学校現場には必ずしも看護協会の看護管理者研修の受講が済んでいる看護師や、あるいは実際に医療機関や施設等において看護管理業務の経験がある看護師がいるとは限りません。
私自身も病院勤務の時は看護管理の経験はなく研修も受講していません。むしろ、学校職場にそういった経験のある看護師が勤務している割合は少ないのが実態ではないでしょうか。
そのような状況であっても、シフト作成が必要な学校では誰かが担当しなければならないので、各地で色々な方々が、様々な工夫をこらして看護師の勤務シフト表を作成しています。
学校行事や子どもの出席状況などを考慮した勤務シフト表の作成はかなり難しい
皆さまもご存知のように、多くの学校には年間3回の長期休暇(春休み・夏休み・冬休み)があります。そして、年間を通して様々な学校行事もあります。また、医療的ケア児全員が校内で学習している日ばかりではありません。どこかの学年に校外学習が予定されている日は、校内での対応と校外での対応それぞれに対応する看護師人数を確保する必要があります。
加えて、医療的ケア児の受診や入院などの欠席予定や、看護師自身の休暇希望なども加味し、様々の条件を複雑に組み合わせて、学校の看護師の勤務シフトが作成されていると思います。
私自身も経験しましたが、予め前月までにシフトを作成しておいても、実際は当然その通りになるとは限りません。予定の急な変更に対して、臨機応変に調整し直していく必要があります。急を要する場合は、その場ですぐに判断して対応を変えるということも必要です。これを教頭先生や養護教諭、コーディネーターの先生がやっておられる学校もありますので、非常に難しい業務に対応しておられると思います。
ハイパフォーマーな看護師は医療的ケア児が安心して学べることにポイントを置いている
学校で働く看護師の経歴も様々ですが、看護師と一緒に働く担任の先生方の経験も様々です。毎年4月になって担任の先生が変わる時には、子ども達や保護者も「新しい先生はどんな人かな??」と緊張されると思いますが、同じように、看護師も「新しい先生」に興味関心が集中します。
私は、新学期当初は、いわゆる「まだ慣れていない看護師」や「まだ慣れていない先生」が医療的ケア児の対応に当たる可能性があることは、やむを得ないと思っています。ベテラン教員や先輩看護師からレクチャーを受けるだけでなく、場面によっては、子ども達にも協力してもらうような事もあったりと、みんなにバックアップされながら看護師や先生も育っていく、という部分もあるのではないかなと捉えています。
ハイパフォーマーな看護師の皆さんも、そういった職員の人材育成を含みつつ、しかも「子ども達が安心して学べる環境」をキチンと作っている事が「勤務シフト表」に込められた、匠のワザだなと、私はみなさんのお話を伺っていて感じました。
まとめ すべては子ども達の学びのために
学校で医療的ケア児に関わる職員同士が、「子ども達の学びのために」という共有のキーワードのもとに、自分に何ができるか?自分達はどんな力をつけていけなければいけないのか?ということを互いに意識しながら、多職種間でひとつのチームとしてまとまりのある仕事ができるよう、ハイパフォーマーな看護師さんは、常に、教員の動きや言動にも関心を持って働いておられます。子どもに関わる大人たちのチームが、いい感じでまとまれるよう、様々な工夫をし配慮している、ということが、学校でお目にかかった看護師さん達のお話から共通して見えてきました。