今回は、地域が全く異なる3校の特別支援学校の看護師さん達に続けてお目にかかる機会があり、みなさんが使っている道具の中でも、特に看護師と教員との連絡ツールに着目してみました。
それぞれに校舎の構造や教室配置が異なりますし、当然学校で行う医療的ケアの内容や、子ども達の状態、そして学び方もそれぞれに異なります。看護師の皆さんが働く環境自体が異なった状況ではありますが、皆さん共通に、教員と看護師の連絡ツールが決まっていましたので、ちょっと紹介してみます。
うちはトランシーバーですよ
1校めの看護師さんは、ウエストポーチにトランシーバーが入っていました。その学校は養護教諭の先生も同じタイプのウエストポーチを付けていてトランシーバーが入っていました。医療的ケア児を担当する先生方も、もちろんトランシーバーを各自が持っています。看護師は定時のケアは看護師のほうから子ども達の場所に行ってケアを実施しますが、各教室での学習時間中にも、担任の先生が看護師を呼ぶ必要が出てきた時は、トランシーバーを使う、というしくみになっていました。実際私が伺っていた時にも、「○○さんの吸引お願いします」「了解でーす。教室にいきます」というやり取りが聞こえました。
うちはPHSですよ
2校めの学校では看護師と教員との連絡ツールはPHSでした。ただPHSは2023年3月末で使用が終了するそうなので、その後は考えないとね、とはおっしゃっていましたが、皆さんにとっては今は大事なPHSです。この学校も、前述の学校と同様、定時のケアは看護師が医療的ケア児が過ごしている各教室に行ってケアを実施していて、それ以外の時間でも随時対応できるようにPHSで教員と看護師が連絡を取り合っていました。
別の地域の特別支援学校でもPHSを使っているところがあるようなので、「使用が終了してしまう問題」を受けて新しいツールが導入される日も近いと思います。
うちは校内電話ですよ
3校めの学校は校内電話を使っておられました。このパターンは多いと思います。その学校では医療的ケア児が過ごす教室には校内電話が設置されいて、その日の子ども達の体調や、担任の先生の今日の活動予定などに合わせて、随時校内電話で看護師と担任とが連絡を取り合っています。子ども達が安全に学習活動に取り組む事ができるように、看護師の皆さんは広い校内をあちこちと休む間もなく、動き回っておられました。
看護師同士で話す時間が取れるのは「子ども達が下校後かな…」という事で、やっと椅子に座ったところで少しお話を聞かせていただく事ができました。
まとめ
看護師と教員とをつなぐ連絡ツールだけを取り上げても、様々なパターンがあります。どれが良いとか悪いとかではなく、その学校の今までの経緯や、教室配置の状態や看護師の人数など、学校によって、それぞれに事情は異なりますから、様々な方法が生まれてくるのは当然です。
看護師と教員が連携しながら、ちょうど良い距離感で、お互いの専門性を活かして仕事をするには、こういった道具は大事です。なにより、子ども達が安心して学べるという事が中心になると思います。
学校で働く看護師は、学校ならではの様々な道具を持って仕事をしています。学校が異なると、道具を運ぶ方法などもちょっとずつ違います。ウエストポーチもあれば、専用のカゴや、リュックというところもあります。
校舎はとても広いし、子ども達は運動場で学ぶ場面もあれば、体育館で活動する時間もあります。こういった学校ならではの状況に全国の学校の看護師たちは、それぞれで創意工夫をして独自の方法を編み出している、という事がわかりました。
いつか学校の看護師さんの「持ち物比べ」もやってみたいな~と思いました。