病院・在宅・学校というそれぞれの場所で、同じ地域で働く看護師の方々から、皆さんの自分の役割についてお考えを聞かせていただく事ができました。皆さん、地域の看護師同士が互いに連携する事の必要性は感じていても、どこの看護師が中心となるのか?最初の連携開始ボタンを誰が押すのか?が定まっていない様子で、そこに連携体制構築の難しさがあるように感じました。
【看看連携】の難しさや、地域の関係機関同士が連携する事の重要性については、私は過去にもTwitterやFacebookに投稿しましたが、今回お話を伺った看護師の皆さんは、誰かが最初の一歩を踏み出せば、すぐにでも連携体制は構築できそうなくらい、近くまでは来ている印象を受けました。
病院や訪問看護師と連携ができている学校の看護師は非常に少ない
学校で働く看護師が、同じ地域にある、病院の看護師や訪問看護師と日常的に直接連絡を取る事ができる仕組みが「既にある」という事例は、現状では非常に少ないと思います。もちろん工夫をしている学校もあると思いますが、おそらく、定着している例の方が少ないのではないでしょうか?
学校で担当する医療的ケア児が、病院に入院したり、訪問看護を利用している場合は、その子の医学的な情報について、病院や在宅の看護師と学校の看護師が直接連絡を取り合ったり、定期的に情報交換をする仕組みがあってもいいのではないかな、と私は以前から思っていました。しかし、私自身の経験でもそういったシステムはありませんでした。
今回お話を聞かせていただいた小学校で働く看護師の方々は、非常に丁寧に日々の看護を実践し、子ども達の学びを支援しておられますが、病院や在宅の看護師さん同士で、情報共有や連携をする仕組みは持っておられないようでした。自分達が日々学校で行っているケアについては保護者さんとは密に連携しておられますが、もし、医療職同士で検討する機会があれば、より良いケアにできるのではないか、という思いがあるとの事で、それは看護師としては当然の事だと思います。
訪問看護や事業所の看護師さんは沢山の情報を持っています
訪問看護や相談支援事業という在宅の場で活躍しておられる看護師さんからも、お話も聞かせていただきました。私自身の経験でも訪問看護師さんは、本当に沢山の情報を持っておられるなと思っていました。そして、逆に、学校の事については訪問看護師は、保護者さんからはお話を聞いておられると思いますが、直接学校の看護師と話した経験のある訪問看護師さんは少ないという印象でした。
在宅の看護師と学校の看護師が定期的に情報交換をする機会はなくて、何かきっかけがある時だけ、保護者さんを通して情報が行き来している、という状況のようで、それは以前の私の経験と似ているな、と感じました。
訪問看護や事業所など在宅を支援する看護師さんは当然沢山の情報を持っておられますし、学校の看護師は学校での子どもの様子を知ってます。しかし、お互いに情報を共有する仕組みや体制がなかなか構築されないのは何故でしょうか?
病院の看護師は病院の外に出るのは難しい?
当然、子ども達が入院した時や外来受診の際には病院の看護師が看護をします。しかし、在宅の看護師との関係性と同様に、学校の看護師と病院の看護師が日常的に連携するしくみについても、構築されている学校は少ないのではないでしょうか?
医療的ケア児が退院する時に開催される「退院時カンファレンス」に訪問看護師が参加するのは、当たり前になっていると思いますが、学齢期の場合はそこに学校の看護師も呼んでいただけるというケースは、まだまだ少ないのではないでしょうか?
今回、病院で長く勤務してこられたベテラン看護師さんからもお話を聞かせていただきました。子どもたちが病院の外で、それぞれの地元に帰って、どんな生活や教育活動を行っているのか、については、病院の中にいるだけではわからない、との事です。私もそう思います。
退院した子ども達が地域でどのように成長しているのかを、病院の看護師と在宅や学校で働く看護師とで交流できる場面があれば、退院後の子ども達の姿について、入院中や外来受診の時の姿とはまた違う様子をシェアする事ができると思います。
医療的ケア児に関わる関係者同士の連携システムを構築する事は容易ではないと思いますが、お互いに相手を知る事で、歩み寄ったり、折り合いを付けたりする事もできるのではないかな?と思います。どちらか一方ばかりが動いている、とか、相手が来るのをずーっとそこで待ってるだけ、では、対等な立場での連携体制にはならないと思います。
まとめ
同じ地域で働く、病院・在宅・学校を支える看護師の方々ぞれぞれとお話ができた事は、私にとっては非常に貴重な体験となりました。
お互いが近くにいる事は知っているけど、今までは会って話す機会がなかった?看護師同士ですが、本当は、お互いに連携や情報共有をする事は、子ども達の成長にとって必要な事だと思っておられるように感じました。
しかし、どこの看護師が旗を振るのか?どこの看護師を中心にすすめるのか?それがわからない??
あとは「連携開始ボタン」をどこかの看護師が押すだけの状態のように私には見えました。
そのボタンは看護師以外の人が押すのではなく、看護師が押すべきだと私は思います。
【看看連携】については、看護師以外の人が作ってくれたシステムでは、長持ちしないような気がします。 【看看連携】は看護師自身が構築したシステムである事が理想だと私は思います。