連休と連休の間の平日に開催された福岡市教育委員会主催の看護師研修に講師として参加をさせていただきました。
福岡市は福岡県の県庁所在地でもある大都市ということで、学校で働く看護師は小・中学校だけでなく福岡市立の特別支援学校にもたくさん勤務しておられます。
今回は学校での勤務を始めてまだ日が浅い方を対象にした研修という設定でした。
なので皆さん同士での交流の時間も入れた内容にしました。
病院勤務と学校勤務の違い
研修の前に看護師さんから少しお話しを聞かせていただく事ができました。
特別支援学校と小・中学校とでは看護師の業務内容や校内体制には当然違いがあるのですが、どちらの看護師さんも担任の先生方とその日の授業の流れを確認しながら、子ども達が授業に参加できる事を最優先にしてケアの実施場所やタイミングを調整しておられるという事を教えてくださいました。
学校での仕事を始めた直後の看護師さんにとって4月は、それまでの病院など医療機関での勤務と学校での勤務の違いを身を持って体験する時期です。
何故違うのか?どうして違っているのか?
今回の研修では病院勤務と学校勤務の違いについて、4月の皆さんのお仕事を振り返りつつそれぞれの頭の中で今感じている事を整理をしていただきたいので、文科省ホームページ掲載資料「学校で看護師としてはじめて働く人向けの研修プログラム」及び「学校における医療的ケア実施対応マニュアル」の内容を使って説明させていただきました。
加えて整理するための情報のひとつとして、福岡市教育委員会が作成している学校での医療的ケアの実施に関する保護者向けリーフレットなどに目を通す事も意義があるという事をお話しさせていただきました。
学校教育における医療的ケアの位置づけ
学校は「教育の場」です。
なので看護師が学校で行う医療的ケアは生活の中で日常的に行われるケアで、病院で行う治療を目的としたケアとは区別されている、という事は福岡県の「学校における医療的ケアガイドライン」でも説明されているという事も今回の研修では皆さんと確認しました。
加えて、学校における医療的ケアの位置づけとして、学校では医療的ケアと教育活動は密接に関連していて、学校で行う医療的ケアを通して子ども達は教員の指導により「自己肯定感や自尊感情の向上」や「信頼関係の構築」といった事を学んでいるという事をイメージ図を使って説明させていただきました。
福岡市の特別支援学校や小・中学校で働く看護師さんが福岡市としての教育に関するビジョンを把握しておく事も私は大切だと考えているので「福岡市教育振興基本計画」の内容も紹介させていただきました。
病院での看護や訪問看護と学校での看護は「看護の目的が違う」という事を理解するためには、皆さんが勤務している福岡市の学校教育に関する資料や自治体の情報を把握することが大事だと思います。
そうする事で学校で看護師が働く事の意義や目的を捉えやすくなります。
もちろんすぐに看護師が医療や福祉とは異なる教育の目的や意義を完全に理解できるわけではありませんが、こういった教育に関する地元の資料を読む事で、今後校内で教員と意見交換をする際のヒントになると思います。
まとめ
1学期は始まったばかりですが、わずか1か月弱の子ども達への関わりの中で看護師の皆さんは、学校で授業を受けている時の子ども達の表情や、担任の先生とのやり取りの様子などを丁寧に観察し色々な角度で既にアセスメントができています。
5月に入ったのでそろそろ担任の先生の考えや今年度の教育目標などを看護師と共有できる学校もあると思います。
5月以降は教員と看護師がそれぞれにこの1か月間の子ども達への関わりから考えた事について建設的に意見交換をする機会が設定できるといいなと思います。
学校で働く看護師としてまずは担任の考えを聴いてみる、という視点が大事かな…という話を今回の研修の中でも説明させていただきました。
今回研修に参加された看護師さんがだんだんと学校での仕事に慣れていき、子ども達の自立を意識した教員との連携を通して皆さんの具体的な看護の実践につながっていって欲しいなと思っています。