特別支援学校と小学校に連日で訪問させていただく事ができました。
今回伺った特別支援学校には看護師さんが1日に7~8名が勤務しているとの事でした。
そして小学校の方はそれぞれ地域が異なる小学校2校に伺いました。
ひと口に学校への看護師配置と言っても、学校種の違いや地域の違いで看護師の配置基準はそれぞれに異なっています。
看護師がどういった役割を担って、どんな動きや流れで看護師の業務を構築してきたのかお話を伺う中で、校種や地域が異なっていても共通する事や、あるいは校種や地域によって特徴的な事など、連続でお目にかかった事で色々気づく事がありました。
特別支援学校での医療的ケア実施体制はしっかり組織に位置づいています
今回伺った特別支援学校では医療的ケアの実施については経験年数が長く沢山のスキルが蓄積されている印象でした。
1日に看護師は7~8名勤務しているとの事で、その中の1名はリーダーとして学校内や学校外との調整に専念できる業務分担になっています。
その日に勤務する看護師全員で朝に短時間でその日の行事の事や子どもの欠席状況を確認したら、それぞれにサーっと分かれていき、担当する子ども達の担任に声をかけ、その日が動きはじめていました。
医療的ケア児の人数が多い特別支援学校では、当然医療的ケア児の担任となる教員の人数も複数名います。
高等部・中学部・小学部・幼稚部など各学部ごとに担任と看護師の間で調整する役割を担っている教員がいたり、養護教諭も2名体制であったりなど看護師以外にも関係する職員が沢山いる、という部分が特徴的です。
担任は医療的ケア児への指導等について共有できる教員が校内には管理職を含め沢山いる事で、学校での医療的ケア実施体制自体が学校組織の一部としてしっかりと位置づいている、という印象を受けました。
小学校での医療的ケア実施体制は校内で関わる人が限られがちです
今回、それぞれ地域が異なる2校の小学校の看護師さんにも連続でお目にかかる事ができました。
特別支援学級に在籍する医療的ケア児の小学校と通常学級に在籍する医療的ケア児の小学校2校です。
校種としては両校とも小学校ですが学び方が異なる事で、看護師として担任と情報を共有する際の工夫には違いがあるなと感じました。
特別支援学級に在籍する医療的ケア児に対応している看護師さんは、随時吸引が必要な児童であるという事もあって、担任が予定している一日の授業の流れや、教室移動のタイミングなどについては担任と常に声を掛け合いながら情報共有しているとの事でした。
そして、別の地域にある小学校の通常学級に在籍する医療的ケア児に対応している看護師さんの場合は、予定された時刻にトイレで導尿を実施する事が役割となっているとの事で、担任との情報共有についてはタイミングをつかむのに少し時間がかかったとおっしゃっていました。
教室で他の子ども達への対応など忙しくしておられる担任の様子を見て、いつ声をかけていいのか?どこまで担任に相談していいのか?手探りで距離感を探ってきたというお話があり、この思いは共感する看護師さんが全国には多いだろうなと感じました。
2校の小学校に共通する事としては、特別支援学校とは異なり学校組織全体に対して医療的ケアの実施体制は一部の関係職員のみで構成されている事が多く、関わる職員が限られているという印象を持ちました。
まとめ
教員は看護師と協働しながら授業を進める、という事については特別支援学校であっても小学校であっても同じです。
この「協働しながら」が全国各地で色々なパターンが存在していて、とても複雑です。
しかし「協働しながら授業を進める」事が医療的ケア児の学校教育については最も大事な部分で、これこそが学校における医療的ケア実施体制の肝になる部分だと私は思っています。
教員と看護師の協働が上手くいくにはいくつかの工夫やコツが必要ではありますが、特別支援学校や小学校という校種の違いや、学級の違いに関わらず、医療的ケアの実施体制を校内組織にきちんと位置付け、出来るだけ多くの職員が関わるような組織体制にしておく事が共通する上手くいくポイントになると感じます。
教員と意見交換をする際には「自分は教員だから医療の事はわからない」とおっしゃる方が時々おられます。
「わからない!」と言われると看護師としては「知って欲しいと思うのは間違っているのかな??」と感じてしまいがちです。
「看護師だけがわかっていればいい」という事ではなく「みんなで知ってみんなで分かち持つ」という雰囲気が学校組織の中で生まれると、医療的ケアの事が校内全体の事となり授業を中心とした協働体制に進化していくと私は思います。