私は今年度より佐賀県医療的ケア児支援センターで教育アドバイザーという役割をいただいているので、先日開催されました佐賀県の令和5年度医療的ケア児等支援者・コーディネーター養成研修に講師の一人として参加をさせていただきました。
この研修は佐賀県医療的ケア児支援センターが佐賀県より委託を受けて実施しています。
公開講座が3日間、集合研修が2日間で加えてオンデマンドの動画研修の視聴もあり、とても内容が濃いプログラムです。
今回も佐賀県内各地から参加をしておられました。
医療的ケア児の「就学」をテーマにした回を担当しました
佐賀県の医療的ケア児等支援者・コーディネーター養成研修は、コーディネーターとして活躍する予定の方だげでなく、合わせて医療的ケア児支援者を養成する目的も設定されています。
受講者の内訳は福祉現場で相談支援員として活躍中の方が割合としては多かったようですが、看護師や教員の方も参加をしておられました。
佐賀県医療的ケア児支援センターに寄せられる相談では「就学」に関する事が多く含まれているとの事で「就学」だけで1回分の研修となっているのはスゴイ事だなと思いました。
私の他にも講師としては、佐賀県教育委員会特別支援教育室の方が就学の仕組みや流れについて、文科省の資料に基づいた内容を中心に講義を担当しておられました。もちろん佐賀県の特別支援教育の取り組みの説明もありました。
また佐賀県内の市立小学校での医療的ケア実施体制については佐賀市教育委員会と伊万里市教育委員会よりそれぞれ担当者の方からの説明がありました。
私からも医療的ケア児が学校に就学するまでの流れや、学校でケアを実施するまでの一般的な手続き等について説明をさせていただきました。
県立特別支援学校の説明と、市立の小学校の説明をひとつの研修の中で一連の流れとして聞く事ができる研修は貴重だと思います。
子ども達の就学先の決定についてはどの時点で、どういった観点で決まっていくのか、という事が受講者の皆さんに伝わっていればいいなと思いました。
日々医療的ケア児に接している方々の現場の声を聞かせていただきました
今回の研修での私の役割は、学校で働く看護師及び教職員の役割を知っていただく事です。
加えて、学校での医療的ケアの実施に関わる保護者も含めた様々な方々の役割についても説明させていただきました。
特に、医療的ケア児コーディネーターとして活躍される方々には医療的ケア児の在宅生活をコーディネートする事が期待される事ですから、医療的ケア児が学齢期の場合は、学校との調整や連携も必要になってきます。
学校と調整する際には、そもそも学校の中でどういった人が子ども達に関わっていて、それぞれどのような役割を持って学校での医療的ケアの体制を支えているか?という事を知っていただく事は大事だと私は思っています。
当然、学校教育においては保護者も役割を担っている事もコーディネートをする方々には知っていただくも重要だと思いますので平成31年3月の文科省通知文「学校における医療的ケアの今後の対応について」に沿って説明をさせていただきました。
今回はオンラインでの開催ではありますが受講者は福祉の現場で働く方が多いので、後半で受講者同士で意見交換をしていただく時間も作りました。
テーマが「就学」ですから意見交換でも「学校に関する事で調整をした経験」や「学校との調整で困難に感じた事」など、学校との接点についてグループに分かれて話していただきました。
意見交換をしていただいた事で、実際に日々対応しておられる「現場の声」を聞かせていただく事ができたと思います。
多職種が連携するにはどうすればいいか?皆さんの地域で実際に医療的ケア児に関わっている一人ひとりの顔を思い浮かべながら工夫や苦労を共有できたのではないかなと思います。
まとめ
今回は佐賀県内で医療的ケア児とそのご家族を支援しておられる方々への研修に参加をさせていただきました。
「就学」は医療的ケアの有無の関わらず、どの子どもにとってもとても大きなライフイベントです。
どの子にも就学の前後で変化する事は沢山あると思いますが、どの子にも共通する大きな変化は、平日の過ごし方が「担任の授業を受ける」事が中心となる、という事だと思います。
今回、受講者同士での意見交換の中に「自分たちの地域全体で子ども達の学びを支援していくにはどうすればいいか?という事を考えたい」というご意見がありました。
この言葉は「素晴らしい!」と私は思いました。
学校の看護師や担任、あるいは病院の医師や福祉事業所の相談支援員、というそれぞれの役割についてお互いに理解し、整理しながら取り組む事はもちろんとても大事ですが、「地域全体で」という言葉によって点や線ではなくその地域で暮らす、あるいは働く皆さんが面になって地元の子ども達の学びを支援しているイメージが浮かびました。
佐賀県内の皆さんそれぞれの地元の地域の方々が全体で子ども達の学びを支援する体制の中に学校で働く看護師も普通に入っているというような、その地域ならではの顔の見える体制ができるといいなと感じました。