今回は特別支援学校で働くベテランの看護師さんにお目にかかる事ができました。
卒業生が卒業した後なので、学校の廊下には卒業式用の飾りがあり、何となくしんみりした雰囲気でした。
看護師さんからは「教員と看護師が上手く連携するコツ」についてのお考えを聞かせていただく事ができました。
すると、ケアをするタイミングや担任に声をかけるタイミングなど、授業に影響が出ないように考えているつもりだけれど、今ので良かったのかな…とか、後にすれば良かったな…とか、色々考えるんです…と話してくださいました。
教室で学んでいるのは医ケア児だけではないので、看護師が医ケア児の事だけを中心に動くと、他の子ども達の集中が切れてしまうのではないだろうか?など、もっと「担任の授業」に配慮できるようになりたい、と考えておられるお話には私自身が学ぶ部分が多く大変参考になりました。
ここは「教育の場」だから授業が大事ですよね…
今回お話を聞かせてくださったベテラン看護師さんも入職当初は病院勤務との環境のギャップにビックリする日々だったとの事です。
これは、学校で働く看護師にとっては、もちろん程度の差はありますが、ほぼ全員が感じる感覚だろうと思います。
しかし、ここは学校で「教育の場」なんだと理解し、看護師が学校で果たすべき役割を捉え直すために、看護師同士で話し合ったり教員の様子をうかがったりしながら考えてこられたそうです。
今は子ども達が「授業を受けられるようにする」事が大事なんだという思いで、授業の邪魔をしないように配慮しつつ、でも必要な事は担任と確実に共有し、適切なタイミングでケアを行う、という丁度良いタイミングや距離感について、色々考える日々、との事です。
「子ども達の授業については私達看護師は誰からも事前に教わっていないので、授業の邪魔をしないようにする方法を考えるのは苦労しています…自分なりに様子をみながらやってきましたが、今のは大丈夫だったかな💦と後から思う事もあります」
この看護師さんは、学校での看護の目的は病院での看護の目的とは異なる、という事を、自分で整理し、担任が行う「授業」に注目するという発想でお仕事に取り組んでこられたお話にはまさにコツが詰まっているなと感じました。
教室には医ケア児以外にも子ども達がいますよね…
この学校では、今年度までは基本定時のケアは看護師が待機している「ケア室」で実施してきたそうです。
校舎がとても広いため、教室配置や看護師の動線など様々な検討をしてこられたとの事で、その上でケアは「ケア室」で実施する方が安全であろうという判断で運用してこられたとの事です。
次年度以降は医ケア児の人数が増えるという事もあって、学び方や学年のまとまりも検討し、一部教室でのケアの実施も取り入れながら体制をブラッシュアップする予定だそうです。
「教室でケアをする場合は、教室には医ケア児以外にも他の子ども達もいて、当然その子も授業を受けているので、その子の授業の邪魔になっていないか、とか、看護師が教室に入った事で集中が途切れないか、とかタイミングを掴むまでには色々気になります…」
看護師が授業への配慮を考える事はとても大事な事ですし、当然看護師だけで考えるのではなく、担任と一緒に組み立てていく事です。
子ども達が学校に来る目的は担任の授業を受ける事です。
授業を受けている時間は医ケア児だけでなく、どの子どもにとっても充実した時間となるにはどうすればいいか?
看護師も学校組織の一員として全体を捉えた上で一緒に考えていく事が定着する職場に近づきつつあるようにお話の中から感じました。
まとめ
今回このベテラン看護師さんのお話から、学校においては「ケアを行う場所」を考える事は教員と看護師の連携が必須だとあらためて実感しました。
私は個人的には学校でケアをどこで実施するか?については、基本は担任が子どもの一日の流れの中で、学びを中心に考え、校内の運用上のルールを踏まえた上で、まずは担任から看護師に提案していただく方が良いと思っています。
そこから看護師チームとして他の子どものケアの段取りなどを考えながら、丁度良いところで折り合いを見出していく感じが良いのではないかと私は思います。
もちろん、教室配置やその日の子ども達の出欠状況、行事の有無など、ケアの実施場所を検討するには様々な観点から臨機応変に考える必要があります。
こういった複雑な調整を丁寧に行う事で、子どもの学びを中心にした環境を作る事ができると考えますが、これは教員と看護師が一緒に検討する事です。
これから始まる新学期に向けての準備の中でも、担任が行う授業の流れを意識する視点を含めて考える事も学校で働く看護師としては大事な観点だと感じました。