医療的ケア児に関わる看護師としては在宅医療の分野で活躍している方々も沢山おられます。在宅医の往診に同行する看護師や、訪問看護として患者さんの家で看護を実践している看護師です。
在宅医療で活躍する看護師は、患者さんの家での療養生活を支える大事な役割を担っていますが、小児の場合は子ども達の成長に伴い、学校への入学や進級などの様々なライフイベントがありますので、日々の関わりの中で、保護者や子ども達から病気の療養の事だけに限らず様々な内容の相談も受けておられると思います。
今回は、在宅医療を担うベテラン看護師さんと医療的ケア児の学校生活について意見交換させていただき、私自身が気づく事が沢山ありました。
在宅医療に携わる看護師は子どもや保護者さんにとても近い立ち位置で看護を実践
在宅医療に携わる看護師の役割はたくさんあると思いますが、私は、患者さんが、その人らしく自宅で過ごす事を支援する事も役割のひとつ、というようなイメージを持っています。その人の生活を豊かにする、その人にとっての健康な状況で過ごす事を看護師として支援する事が、在宅での看護師の役割にはあると私は理解しています。
私自身は在宅看護を実践した経験はありません。しかし、今までお目にかかった事のある訪問看護師さんのお話からも、小児科領域の在宅医療に携わる看護師の皆さんは、保護者(主にはお母さんお父さん)の思いに寄り添い、子どもや保護者にとても近い立ち位置で看護を実践しておられる印象です。
今回、意見交換をさせていただいた在宅医療に長く携わってこられた看護師さんも、とても丁寧に保護者の思いを聞いておられ、保護者に寄り添った看護を実践してこられたスゴイ看護師さんです。その方が、沢山の保護者さんとお話をされてきた中で、「学校」の事については、保護者から「どうしたらいいだろう?」という相談を受ける事が多いし、看護師としても対応が難しいと感じている、というお話がありました。
「家」と「学校」の違いを看護師として理解する
お互い看護師ではありますが、私自身は在宅での看護を経験した事がありませんし、そのベテラン看護師さんは学校での看護を経験された事がありません。つまり、お互い自分の領域では「こんな簡単な事…」と感じる事も、相手の領域にいくと「簡単じゃない…」という事になってしまうのは何故なのか?を理解するには、「在宅での看護」と「学校での看護」の違いを知る事が大事だな、と感じました。
当たり前の事ですが「家」と「学校」は同じではありません。子ども達にとって「家」はリラックスする場所ですが、「学校」は、状況によってはリラックスする時間も必要ですが、基本「緊張」して学習活動に取り組む場所だと思います。つまりリラックスした状態の「家で行う看護」と、学習活動中の「学校で行う看護」は看護の目的が異なる、という事について意見交換をしました。
更には、「家」では「その家族だけのルール」や「自分だけのペース」で過ごす事ができますが、「学校」では「学校のルール」や「児童生徒全体のペース」にも配慮した看護が必要である、という事も学校での看護の特徴だと私は捉えています。どの子にとっても、学校では「集団の中で」「お互いに折り合うところを見つけたり」「譲り合ったり」する事も教員が子ども達に行う大事な指導であり、学習活動です。
そういった「家」と「学校」との違いについても、「その人らしく過ごす」という観点で看護師としてキチンと理解する事が、在宅医療を担う看護師にとっても、学校教育を支える看護師にとっても、お互いに必要な事かな、と感じました。
やっぱり子ども達の学びを支える看護についてアピールが足りない
今回、在宅医療のベテラン看護師さんと意見交換をする中で、やっぱり、子ども達の学びを支える学校での看護についての、看護師業界へのアピールが足りていない‼️と感じました。
保護者さんの思いを聞いておられる在宅の看護師さんの立場では、「学校生活に課題があるなら、何とかして解決できないの?」と思うのは当然ですが、私との意見交換の中で、視点を「大勢の子ども達が学んでいる学校の景色」に移していただくと、担当するその子も「大勢の子ども達の中の一人」であるという学校の捉え方にも気づいていただける部分もありまりました。
こういった在宅医療を担う看護師の皆さんにも、「学校」は「大勢の子ども達が学ぶ場所」であるという事を理解していただくような、学校というところを知っていただく機会が必要ではないかな、と思います。
まとめ
以前にもブログで取り上げましたが、やはり、同じ地域で、様々な職場で働く地元の看護師同士が横に繋がる仕組みがあれば、お互いの役割の違いを知る事ができるのではないかな、と今回も感じました。一人の医療的ケア児の看護について「病院の看護師」「訪問看護師」「学校の看護師」「保育所の看護師」「放課後等デイサービス」の看護師同士が、スムーズに直接やり取りができるようになれば、本当にサイコーです。