夏休み終盤の研修会という事で、今回は高知県教育委員会が主催する医療的ケア看護職員研修会に講師のひとりとして参加をさせていただきました。受講対象は県立特別支援学校で働く看護師さんや養護教諭の先生と、県内の市町村担当者や小学校で勤務する看護師さんでした。残念ながらコロナの拡大状況を踏まえて県内各地の学校と講師がオンラインで繋がる、という方法に切り替わりましたが、やむを得ない判断だと思います。
今回は、高知県で在宅医としてご活躍中のあおぞら診療所高知潮江 所長 松本先生 のご講義もあり、私自身も大変勉強になりました。
研修会の企画から一緒に考えました
高知県教育委員会は、学校で働く看護師への研修をブラッシュアップしたいという事で、昨年度末には私にご連絡をくださり、今年度の初めから研修企画のところから一緒に考えさせていただきました。どの時期に、どういった内容の研修をすれば良いか、現場の看護師さんの研修に対するニーズはどうだろうか、教育委員会として看護師にどういった力を付けて欲しいのか、などを、教育委員会の担当の方と意見交換をさせていただき、実際に高知県の特別支援学校にも伺って、検討してきました。
県内の特別支援学校であっても、当然子ども達の障害の状況がそれぞれに異なる事や、医療機関が併設する学校とそうではない学校など、学校毎に体制に違いがある事もあり、共通する内容で一緒に研修するにはどういった内容が良いのか色々考えました。
また、研修を通して他校との情報交換ができる事も意義があるのではないかという事で、いくつかのグループに分かれて学校間で意見交換をする、という方法も検討しました。
本番では、私からは、主に教員の専門性について説明をさせていただきました。私は、看護師が学校で働く上では、看護師自身も教員の専門性を理解する事も大事であり、そうする事により、看護師の専門性を発揮する事ができると考えていますので、学校教育に関する文科省の資料等を中心に紹介させていただきました。
在宅医の松本先生は医療的ケアの基本について丁寧に説明してくださいました
学校で看護師が行うケアの手技は、保護者が行う手順に合わせているところが多いと思います。子ども毎に個別性の高い手順でケアをする事は、学校においては重要な事です。一方で、看護師としては、体の構造の部分もイメージした標準的な手順を確認しておく事も必要な事だと思います。今回、松本先生がご用意してくださった資料はとてもわかりやすく、シンプルなイラストで、体の構造をイメージしながら、ケアを行う上での、手技のちょっとしたコツなどを途中動画も入れて説明をしてくださり、私自身とても勉強になりました。
集合研修だったら、実技演習も検討してくださっていたとの事だったので、今後はそういった機会もあればいいなと思います。
また、医師も含めた学校教育における多職種連携の重要性についても触れておられました。高知県内の学校で働く看護師の皆さんにとっては、松本先生は大変心強い存在の先生なんだなと思いました。
オンラインで画面をとおして、他校との交流もできました
画面越しでの他校との交流になったので、スタート時は「聞こえますか~」をお互いに繰り返してしまう場面があったりなど、近くでしゃべりたいのに~という、もどかしく感じでおられる様子がひしひしと伝わってきましたが、しゃべっていくうちに、それぞれの学校で、皆さんお互いにスクリーンの方を見ながらも、「こんな時どうしてます?」「うちはこうしてますよ-」という会話のやり取りのテンポが、だんだんと良い感じになってきているように見えました。
「困っているのはうちだけじゃないんだ…」「そういうやり方もあるんですね…」という、話が通じ合った感覚を、少しでも感じる事ができれば、交流する方法が今回のようにオンラインであっても、参加して良かった、と思ってくださればいいなと思いました。
地元の看護師同士が、今回の高知県教育委員会の研修のように、オンラインなど色々方法を工夫しながら、横に繋がっていけば、自分達では思いつかなかったような事に気づく可能性もあると思います。是非今回の経験を活かして今後も繋がって欲しいなと思いました。
まとめ
今回は、高知県内の学校同士や講師とをオンラインでつなぐ方法での研修となりましたので、学校で参加してくださっている看護師の皆さんも、最初は緊張しておられるように画面から感じ取れました。校内での端末の準備や、ZOOMの操作、マイクの音量や、カメラの角度など、触りながら、しゃべりながら、何度も調整をしてくださいました。各学校や高知県教育委員会の担当の方々は、本当に準備が大変だったと思います。ありがとうございました。
でも、このような事は実際にやっていかないと進化できないので、学校で働く看護師の皆さんも、こういった機材を使って他校との情報交換を、積極的にしていって欲しいな、と思います。
高知県内の学校の看護師さん同士が横につながりながら、業務をブラッシュアップし、子ども達の学びを支える看護が安定的に実践できるよう、私も引き続き支援をさせていただきたいと思っています。