今回は特別支援学校で働く看護師さんにお目にかかってお話を聞かせていただきました。
その方は小児への看護は学校に入職して始めてとの事でしたが、大人と子どもの違いや、病院と学校の違いなど、ご自身の経験から学校というところを客観的に整理して捉えておられました。
そして常に養護教諭と相談できる体制になっているので、入職時から学校での看護師の役割をスムーズに受け入れる事ができたそうです。
日々子ども達の成長発達に関わっているという事は、それまでの成人看護での経験とは異なる、今まで経験してこなかった学びが沢山ある、というお話を聞かせてくださいました。
子どもが学ぶという視点の重要性は養護教諭との関わりで理解ができました
この学校では、養護教諭の先生と看護師は常に情報を共有していて、日々行うケアの内容や実施時刻、その日の体調に合わせたケアの調整など様々な事を養護教諭との相談で判断をしているそうです。
毎日、担任の先生がその日の時間割に合わせてケアのタイミングを予めスケジュール表として看護師に提示しています。それを養護教諭とも共有し、子どもの体調を見た上で、その日の学び方やケアの実施場所について担任との調整が必要かどうかの判断を、養護教諭と一緒にしているそうです。
この看護師さんは、学校では「子どもが学ぶ」という視点を持って看護をする事の重要性を、入職当初に養護教諭が説明してくれた事で、学校が看護師に求めている役割をそれほど違和感を感じる事なく、スムーズに受け入れる事ができたと話してくださいました。
この学校の養護教諭の先生は医療的ケア実施校での勤務経験が長く、医療に関する知識や看護師の専門性についても熟知されているようでした。
看護師が養護教諭としっかりと相談できる関係性が構築できている事で、看護師として提案したい事を養護教諭を通して担任に伝えるし、担任もケアを上手く組み込んだ学び方について、養護教諭を通して看護師に相談していました。
成長途中の子どもに関わっている事自体がこの仕事のおもしろいところです
看護師として学校で働く中で、やりがいにつながる事についても聞かせていただきました。この仕事のやりがいは今までの臨床で経験してきた事とは全く異なるものだそうです。
大人と違って「子どもは成長発達していく」という部分が興味深いところで、この仕事のやりがいとの事です。
先生方が子ども達に関わっている様子や声のかけ方などについても、医療的ケアを実施しながら、色々アンテナを張って吸収しているそうです。
「子ども達は成長途中にあるので、自分の関わり方が子ども達の成長に影響している、と思うと、声かけひとつでも責任重大」と感じるそうです。
「もともと子どもには成長する力があって、学校はその可能性を最大限に伸ばすところだから、子ども達がしっかりと担任の指導が受けられるような看護をしていきたいし、そういうところがこの仕事のおもしろいところ」と教えてくださいました。
まとめ
看護師として学校で働くには小児科経験が必要ではないか?という質問を看護師からいただく事が良くあります。
私は、学校の看護師として小児科経験はマストではないと考えています。むしろ、今回お話を伺った看護師さんのように、小児科経験がないからこそ学校という組織が看護師に求める役割を客観的に理解し、自分の中で新しいフィールドとして受け入れる事ができるのではないかと感じます。
もちろん小児科での経験がある看護師も学校現場では大勢活躍しています。
学校では小児科経験のある人の強みと、小児科経験のない人の強みが両方上手い具会に合わさって、学校での看護という専門性の高いチームとして子ども達の学びを支えていくのが、理想的なんだろうな~と今回の看護師さんのお話から感じました。