残暑がまだまだ厳しいですが子ども達の学校生活は2学期の取り組みがドンドン進んでいます。
特別支援学校は小・中学校とは違って医療的ケア児が1校に複数名在籍している事が多いため、看護師も同じ学校に複数名配置されていて、校内には毎日何名かの看護師が一緒に働いているという印象だと思います。
しかし必ずしもそうではなくて、特別支援学校であっても児童生徒数が少ない小規模校や、あるいはカリキュラムの違いなどで医療的ケア児の在籍数が少ないという学校もあって、そういった学校では配置される看護師が1名だけという場合もあります。
在籍する医療的ケア児が1名で、そして配置されている看護師も1名という特別支援学校で働いている看護師さんから先日私はお話を伺う事ができました。
正直、はじめは色々不安でしたよ~💦
おそらく学校で働く看護師の多くがそうであるように、その看護師さんも前職では医療機関で勤務をしていたので、医師がいない環境で働いた経験がなく、この環境自体がはじめは不安だったとおっしゃっていました。
その事は事前に聞いてからお仕事を始めておられるのですが、いざ現場に来ると不安が膨らんだ、という感じです。
学校で働きはじめた看護師は、特に医療機関での勤務経験のみの看護師については「医師がいない」という事に単純に今までの職場との違いを実感します。
医療機関であれば日常的に医師が同じ施設内に勤務しているので、すぐに報告・相談ができますが、当然学校はそれとは全く違う環境です。
この「医師がいないところで働く」事に反応してしまうのは看護師特有だと思います。
もしすると医療機関から訪問看護ステーションに職場が変わった直後の看護師も同様の感覚になるのではないかな想像しますが、訪問看護の場合は同僚看護師との共有も可能かと思います。
しかし学校の場合は看護師が自分ひとりだけ、という場合もあるので誰とも共有できずに不安が膨らみやすい状況だと思います。
以前に私は養護教諭との意見交換の中で医師がいない学校での仕事について話し合った事があるのですが、養護教諭は元々医師がいない学校で働くという設定で養護教諭になっているので、学校に医師がいない事を看護師が「すごく気にする」感覚が養護教諭にとってはやや不思議な感じがする、というご意見をいただいた事があります。
確かにそうだな~と思います。
学校には医師が「必要なのにいない」のではなくて、医師は「常駐する必要がないから不在」なのであって、必要に応じて医師との連携体制は構築されている、という事になっています。
適宜医師に相談や報告をする事で、看護師は学校における医師との距離感を学校で働きながらしだいに理解していくのだと思います。
今回お話を聞かせてくださった看護師さんも、養護教諭と繰り返し話し合う事で医師がいない学校という職場での看護師としての役割がだんだんと理解できるようになった、とおっしゃっていました。
子どもの表情を通してだんだんと看護師の役割が理解できた
その看護師さんは学校でのお仕事を開始する直前まで医療機関で勤務をしておられたとの事で、学校に着任当初は仕事の「テンポ感」を切り替える事に苦労したそうです。
それも良くわかるな~と思いました。
医療機関では患者さんは治療を目的として来院しているので、テンポ良く看護を提供する事が求められます。
しかし学校には子ども達は当然治療目的で登校している訳ではないので、もちろん医療機関とはテンポ感が違います。
今回お話を聞かせてくださった看護師さんは、担任と医療的ケア児とのやり取りの中で見せるその子の表情や、好きな取り組みの時に見せる集中した真剣な表情、やり切った時に見せる達成感のある表情など色々なその子の反応を見る中で、だんだんと自分の役割がわかってきたように思う、と教えてくださいました。
担任は様々な取り組みを計画し、その日の体調を見極め看護師と一緒にアセスメントをして、準備した授業内容を調節しながら丁寧に子ども達に関わっているという事がだんだん理解できるようになった事で、学校での自分の立ち位置や役割がわかってきたし、この事は学校で働くようになって初めて知った事だとおっしゃっていました。
この方だけでなく多くの看護師が学校で働く事で初めて知る事です。
まとめ
今回お話を伺った看護師さんは特別支援学校の看護師さんですが、そこは小規模校で現在在籍する医療的ケア児が校内に1名という事で看護師配置もその方ひとりだけの配置でした。
もちろん同じ自治体の他校には看護師が複数名配置されているため、小規模校のバックアップ体制として大規模校で勤務する看護師に相談ができる体制もあるとの事でした。
今後各地では、始めて看護師を雇用する学校や、看護師1名の配置でスタートする学校もあるだろうと想像しますが、スタート直後に問題が発生するとしたら、おそらく先行している学校が体験している事と似た課題になるのだろうと思います。
先に体験した看護師の話は後から続く看護師の参考になる事が色々詰まっています。
私は今後も各地での看護師の体験や思いを聞き取って、ここでシェアをしていきたいと思います。