学期末毎に開催している つながるかい会員限定オンライン研修「Nurse@school研究会」の6回めを開催しました。
今回は千葉県で活躍中の先生方にゲスト参加をしていただき「担任の先生の思いを理解するには?」というトークテーマで意見交換をしました。
短い春休みを挟んですぐに新学期がやってきます。
学校で働く看護師の皆さんが新しい担任の先生方との新学期からのお仕事の参考になるような意見交換ができたと思います。
個別の教育支援計画について解説していただきました
文科省の資料などにも学校での医療的ケアの実施体制では「教員と看護師は双方の専門性を発揮して児童生徒の成長・発達を最大限に促す」事が大事と書かれています。
しかし、看護師にとって「教員の専門性」というのはどのように捉えれば良いのか?イメージがハッキリしないまま日々の業務に向かっている、という看護師は少なくないのではないでしょうか?
学校で働く看護師にとって担任の先生は大事な同僚です。
担任の先生は子ども達との関係性をどうやって構築していくのか?授業計画を立てたり、めあてや目標を設定するという事が先生方の専門性なのか?といった「教員の専門性」を知る事は「双方の専門性を発揮する」ためには、学校で働く看護師にとってはとても重要な情報だと私は思っています。
今回は千葉県内の自治体教育委員会で勤務する先生にゲスト参加していただき、担任が子どもの実態を把握し「個別の教育支援計画」を作成していくプロセスについて、担任目線で千葉県の資料を使って解説をしていただきました。
当然学校の看護師が対応している医療的ケア児の中には「個別の教育支援計画」の作成が義務づけられていない通常学級の教育課程で学ぶ子ども達もいますが、学校で医療的ケアを実施しているという事は校内での多職種連携が欠かせない訳ですから、「個別の教育支援計画」のような連携のための「共有ツール」を作成する事は必要ではないか、というご意見もゲストやオブザーバーの先生からいただく事ができました。
担任が考える目標を看護師が共有するには
「個別の教育支援計画」についてゲストより解説をしていただいた後に、ゲストと つながるかいの会員さんやオブザーバーの先生方も含めて意見交換をしました。
看護師が担任の先生の思いをどうすれば理解できるのか?それぞれの皆さんの経験から色々な意見や考えお話してくださいました。
特に、学校での子どもの課題の捉え方については同じ課題であっても担任によって異なるし、担任と看護師とも当然異なるものだという事をわかった上で、一人の子どもを挟んで、お互いの捉え方の違いを知るという事が大事では?というお話もありました。
担当する医療的ケア児の「個別の教育支援計画」を看護師はどんなタイミングで共有できるだろうか?担任にどのようにアプローチをすればいいだろうか?といった具体的な質問もあり、担任と看護師が情報を共有するにはまだまだハードルがある現状も伺えました。
その子の成長発達を最大限に促すには、担任と看護師それぞれが何をすればいいか?という事をそれぞれの専門性に立ち返って整理し確認し合う機会を持つ事が大切になってくるなと皆さんとの意見交換を通して感じました。
まとめ
今回のテーマは医療職が医療現場では学ぶ機会のない内容だったと思います。
担任の授業は「学習指導要領」に基づいて組み立てられているというような説明は、看護師にとっては非常に専門性の高い内容だったと思いますが、こういった事を聞くだけでも教員の専門性を理解し「双方の専門性が発揮される」状況に近づけるのではないかと私は思っています。
担任も看護師も限られた時間の中でそれぞれが何をすればいいか?を確認し合うためには、校内体制の中で、一部の医療的ケアを担当する担任や養護教諭と看護師だけで考えるのではなく、校内全体で、学校組織として、コミュニケーションが取りやすい職場風土ができているという事が土台になると感じました。
新学期になったら担任の先生が昨年度までの先生とは変わっていて、お互いの関係性や距離感をまたイチから構築し直すという事は学校で働く看護師にとってはあるある話です。
こういった事も看護師と担任の1対1の関係だけでなく、校内全体の体制の中で多職種も含めて一緒に新しい担任や新しい看護師との関係性の再構築に取り組むイメージを「個別の教育支援計画」などの共有ツールを通して考える事ができるのではないかと思います。
今回も当日参加ができなかった つながるかい会員さんにもアーカイブ動画が視聴できるようにしました。