Nurse Fightでは つながるかい の会員さんを対象としたオンライン研修会【Nurse@school研究会】を定期的に開催しています。
ここではゲストとして講師の先生をお招きし講義をしていただくとともに、オブザーバーとして教育や医療を専門とする先生方にも加わっていただき、学校での仕事のヒントにつながるようなテーマで深掘りをしています。
先日開催した冬休み直前の【Nurse@school研究会】では「医療的ケアを必要とする中学生～養護教諭の視点から～」というテーマを設定し、つながるかい の皆さんと一緒に学びを深める事ができました。
養護教諭の視点から
今回は養護教諭として中学校での勤務経験がある先生をゲストにお招きし講義をしていただきました。
医療的ケアを必要とする生徒への中学校での関わりのご経験から、中学生ならではの大人と生徒との距離感や、生徒同士の距離感の捉え方など、中学生への関わり方について生徒自身の気持ちを中心に考える事の重要性について養護教諭の視点で教えていただきました。
学校組織において養護教諭と看護師の役割や立ち位置の違いについても中学校での勤務経験を通して具体的に整理をして説明してくださいました。
また「養護教諭の職務」は非常に多岐に渡っている事、そして４月から６月には集中的に色々な健康診断の実施がある中で、様々な配慮や支援が必要な生徒達も含めた学校全体の健康課題について、養護教諭は「学習」という観点で医療的ケア児も含めた生徒全員に関わっているという事もわかりました。
養護教諭は「集団」「学校全体」で捉えている事に対して、看護師は医療的ケアを必要とする生徒ひとりずつに対応するので、こういった関わり方の違いから生まれる視点の違いについて、看護師は養護教諭との連携を通して補い合う事もできるのではないかなと私はご講義を聴きながら思いました。
そして、養護教諭として多忙な日々であっても看護師と情報を共有する時間を捻出したというお話しや、看護師の意見も聞きながら同じ目標に向かっていく事を意識したという講師のお話しは、会員さんの学校での仕事のヒントとなったと思います。
学校全体が段階的に医療的ケアの実施体制を構築し看護師を含む教職員の役割を整理していった経過や、何より医療的ケアを必要とする生徒自身が集団の中で成長をしていったという講師のお話しを聴けた事で、私は前向きな気持ちになりましたが、会員さんもきっと同じであって欲しいと思っています。
中学生らしい関わり方って…
当たり前の事ではありますが、小学校と中学校では学校の中の雰囲気が違いますし、先生方の雰囲気も違います。
そして医療的ケア児が小学校から中学校に進学する際には、小学校で対応していた看護師が中学校でも対応するという場合もあります。（自治体によって体制に違いはありますが…）
その場合看護師は、その生徒への中学生らしい関わり方について中学校の教員や養護教諭から教えていただく必要があると私は思っています。
中学生になったその生徒自身は看護師との距離感や言葉づかいなどについてどのように思っているのか…小学生の時と同じにして欲しいのか…変えて欲しいのか…なども看護師だけで判断せず、中学校の先生方と相談する事が大事だと私は思います。
今回の講義でも、養護教諭が考える中学生らしいその生徒への関わり方を看護師に伝え、看護師からも生徒の様子や言動について気になっている事を養護教諭に共有し、中学校でのその生徒への関わり方の方向性を一致させた上で役割の違いを理解しておく事の重要性を講師の先生が教えてくださいました。
医療的ケアを必要とする生徒と周りの生徒との間、あるいはその生徒と教員・養護教諭との間に看護師が不必要に入り込み過ぎていないか…それは中学校の先生方との連携協働の中で確認ができる事です。
中学校はたったの３年間ですが、生徒にとっては中学校生活での友達関係や教員や養護教諭からの指導によって目覚ましく成長する貴重な３年間です。
中学校で医療的ケア児に関わる看護師はその生徒が卒業する時の成長した姿について教員や養護教諭と同じ視点で捉えておく事が大事だと今回の講義を通してあらためて感じる事ができました。
まとめ
Nurse@school研究会では毎回オブザーバーの先生方も含めて講師の先生と活発に意見交換をしています。
今回も先生方との意見交換を通して内容をかなり深く掘り下げる事ができたので、参加をしてくださった会員さんにとっては、それぞれの勤務校で一緒に働く教員や養護教諭を思い浮かべながら自分の仕事に引き寄せて考える機会になったと思います。
「医療的ケアを必要とする中学生」を今回のテーマとしたので、特に小・中学校で働く会員さんは看護師としての中学生への関わり方や養護教諭との連携の視点などを具体的に考える機会となったと思います。
また、特別支援学校や保育所等で働く会員さんには、中学校の事を知っていただく機会になったと思います。
会員の皆さんは今回の内容はアーカイブ動画として繰り返し視聴が可能なので、この冬休み期間中にも視聴ができます。
新学期が始まったら今回の内容を思い出していただき、是非とも一緒に働く教員や養護教諭と学年末の締めくくりのタイミングでは子ども達の成長について情報交換をする時間を持って欲しいです。
