今回は教育委員会の事務室を拠点にお仕事をしているリーダー的な役割の看護師さんにお目にかかる事ができました。
その看護師さんが勤務する自治体では複数の小学校・中学校に看護師が配置されており、看護師の勤務調整や学校行事などの調整、外部関係機関との調整など、学校での医療的ケアに関する様々な調整業務をこのリーダー看護師さんがお一人で担っているそうです。
お話を伺う中で複雑で微妙な調整テクニックがその看護師さんの頭の中に沢山詰まっているように感じました。
ここまで積み上げてこられた成果やご苦労を聞かせていただきました。
調整をしていくうちにドンドン仕事が膨らんでいった感じです
この業務を担当されてから今年度で7年めとの事で、この間色々な事があったそうです。
「はじめは単純に各校で働く看護師と看護師の間を繋ぐイメージでお仕事を引き受けましたが、仕事をする中でただ繋ぐだけでは上手くいかないと感じました。色々考えながら行なっているうちに、ドンドン仕事が膨らんでいった感じです…」とおっしゃっておられました。
仕事がスムーズに進むように人と人を繋ぐといっても、こちらの考えと相手の考えが必ずしも一致しているとは限りません。
相手の表情や反応を見て「あれ?想定していた感じとちょっと違う?」と感じる場合も当然あります。
今回お話を聞かせてくださったリーダー看護師さんは、そういった引っかかるところや、ちょっとした段差をひとつひとつ丁寧に整えながら調整をしてこられたそうです。
特に学校で勤務している看護師さんの思いを聞く、という事には時間をかけるように心がけてこられたそうです。
「小・中学校では看護師はひとりで勤務していますが、困った時にひとりで悩んでいても当然解決できないですよ…。なので私も一緒に考えて対応方法を検討しないと、前に進まないです」
小学校・中学校では看護師が一人で勤務している事により、学校で働く看護師が就職した時に感じる「病院」と「学校」との職場風土の違いなどはより強く感じる事を想定して、丁寧に看護師さん達をフォローされている様子がお話から伺えました。
微妙なさじ加減の調整をしていると自分でも思います
年々小学校・中学校に通学する医療的ケア児の人数が増えてきている事で、当然看護師の人数や連携する関係機関の数も増えてきているとの事です。
従ってリーダー看護師としての業務量も増えている訳ですが、実際にこの看護師さんがひとりで担当してきた調整はとても複雑な内容だと思います。
看護師のシフト調整をとっても、看護師個々の個別の事情をくみ取りながら、学校教育に支障が出ないよう連絡や確認を慎重にしておられます。
「正直厳しい!と思った事は何度もありましたが、何とかここまでやってきました💦」
とても複雑で微妙なさじ加減の調整テクニックがこのリーダー看護師さんの頭の中には詰まっています。
この方の高度な調整テクニックはすぐには誰もマネできないな、とお話を伺いながら感じました。
凄く高度なスキルを持っておられるだけに、職場の皆さんがこのリーダー看護師さんを頼りにしておられる事もお話の中から伝わってきました。
まとめ
全国的に見ると以前からスタッフ看護師をまとめるリーダー的な役割を担う看護師を配置している自治体や学校は各地にあります。
文科省は平成31年3月の「学校における医療的ケアの今後の対応について」の中で「指導的な立場となる看護師」の役割を明記しています。
様々な調整業務については、おそらくそれぞれの現場でのそれまでの経過や背景あるいは事情に合わせて、とても複雑で微妙なテクニックを駆使しながら各地のリーダー看護師さんはそれぞれの役割を果たしておられると思います。
私は、こういった学校現場ならではの複雑な調整業務のテクニックを、次の世代に引き継いでいく事がこれからの課題だと考えています。
今回お目にかかったリーダー看護師さんのお話を伺う中で、この方の高度なテクニックを何とか可視化できるといいな~と強く感じました。