特別支援学校の看護師さんと小学校の看護師さんからこの1年間を振り返るお話を聞かせていただく事ができました。
特別支援学校の看護師さんも小学校の看護師さんもそれぞれに今まで沢山の経験や検討を積み重ねてきたそうです。
1日の業務の流れをどうするか?医療的ケアを実施する場所やケアに必要な物品をどこに置けばいいか?などなど、細かい事をひとつひとつ確認してきて、やっと今のかたちがある、という事が伝わってくるお話でした。
特別支援学校同士でも学校が違えば当然今までの経験や背景が違います
特別支援学校は地域が異なるA校とB校2校の看護師さんから別々にお話を伺いました。
2校とも看護師が配置されてから長い経過がある学校です。
医療的ケアを必要とする子ども達の人数がだんだんと増えてきた事にともない、看護師の人数もだんだん増えてきたという経過は2校とも似ていました。
当然、校舎の作りや教室配置はA校とB校でそれぞれに全く異なるので学校全体としての学び方や教育活動の内容もそれぞれに違います。
看護師の増員に伴い教室配置を考慮して看護師をチーム分けにしてその日の業務の流れをスムーズにした工夫や、看護師の待機場所の工夫などA校もB校それぞれの経験から紆余曲折した結果、理由があってそれぞれの今の形になっている、という事がお話から伝わってきました。
特に養護教諭との情報共有や連携についてはA校とB校では異なる工夫があるように感じました。
A校では校舎の作りから医療的ケアの実施場所を保健室近くの部屋に設定している事もあって養護教諭と看護師が一緒に子ども達の誘導や前後の活動のスケジュール確認などを行っておられました。
B校では教室配置の関係で医療的ケアの実施場所と保健室との距離を考慮し、看護師は学部ごと(高等部・中学部・小学部)に教室近くに待機し、適宜全体を把握する養護教諭と情報共有しながらケアを実施しておられるとの事でした。
学校が異なると当然様々な違いがあるので、医療的ケアの実施体制についてはそれぞれの経験から出来る事を検討し少しずつ仕組みが進化して今の流れや体制にたどり着いたのだと思います。
A校もB校も特別支援学校ですが、医療的ケアの体制づくりについては経験してきた事がそれぞれに違うという事が両校の看護師さんのお話から納得できました。
小学校での工夫はゼロからの出発でした
小学校で働く看護師さんからのお話も聞かせていただきました。
小学校に配置される看護師の業務内容は自治体によって色々なパターンがありますが、今回お話を聞かせてくださった看護師さんは医療的ケアの実施の他、特別支援学級に在籍する児童の生活介助や、教室の環境整備なども担当しておられました。
今の業務内容や一日の流れ、担任の先生との情報共有のしかたなどは特別支援学校の看護師さんと同じように、様々な経験を経て紆余曲折しながら今の内容になったとの事でした。
今回お話を聞かせてくださった看護師さんは、その小学校では看護師の前任者がいない状況でのスタートだったそうです。
「最初は手探りの状況でしたよ💦」
前任者がいないので、おそらく自分が学校に出勤してから退勤するまでの一日の仕事の流れも手探りで考えたと思います。
「これでやってみよう!」「こうしてみたけれど担任の先生の考えとは違うのかな?」そういった事を繰り返し検討したと思います。
ひとつひとつご自身の経験から色々考え周りの方々に相談しながら工夫をしてこられた事がその方のお話からはひしひしと伝わってきました。
まとめ
特別支援学校であっても小・中学校であっても看護師は「学校で医療的ケアを実施する事で子どもの学びを支える」事を目的として学校に配置されているわけで、これは全国共通です。
しかし「子どもの学び方」は学校毎にそして子ども毎に違います。
「この学校ではどのように子ども達が学んでいるのか?」あるいは「この子はどのように学んでいるのか?」については当然看護師は勤務の初日から自然に把握できるものではありません。
今回お話を聞かせてくださった看護師さんは皆さん「この学校ではどのように子ども達が学んでいるのか?」を色々な経験を積み重ねてこられた事で「こういう事かな…」「今年の担任の先生はこんな感じなんだな…」と、その学校の教育活動や担任の先生の考え方を捉えるスキルをご自分で身につけてこられたようです。
お話を聞かせていただきながら、こういった皆さんが実際の経験から獲得されたスキルを皆さん自身でアウトプットされたらいいのにな…と思いました。
まさにこれが「学校現場での実践」ですから、私なりに今後も色々な方法でシェアしていきたい!と思います。