今回は小学校で働く看護師さんから学校でのセルフケアの取り組みについてお話を伺いました。
その看護師さんが担当しているお子さんは、家でのセルフケアはほとんど確立しているそうです。今は学校でもセルフケアが確立する事を目指して、養護教諭や担任の先生と連携しながら進めている、との事でした。
ケアの手順を書いた紙を子どもに見せながらまずは手順を覚える
看護師によるケアからセルフケアに移行するために、ケアの手順を紙に書き出して、担当するお子さんと行程をひとつひとつ確認しながら進めてこられたそうです。
「○○さんからも(手順を書いた)紙見せて~と言ってくれ、関心を持って取り組んでいるので、順調に進んできました💕」との事でした。
手を洗うことからはじまり、必要な物品が揃っているか確認する、使いやすい場所に物品を置く、そして最後は片付けるところまで書かれています。
授業と授業の間の限られた休み時間内でもスムーズにセルフケアに移行できるように、大事な事が子どもに伝わる言葉でシンプルに書かれた手順書となっていました。
その学校では子どもが活用する手順書は、養護教諭の先生と相談して看護師さんが作成したとの事でした。学校によっては養護教諭や担任の先生が子どもと相談しながら作成する場合もあります。
セルフケアの確立という目標に向けて誰がどの役割を担うのか?は、学校の状況によって関係する人が臨機応変に判断しているのが実情だと思います。
今回お話を伺った看護師さんは、子どものセルフケアの様子を子どもの側で見守り、所々手を添えながら、セルフケアの確立に向けてとても丁寧に支援しておられました。
子どもの「やる気」を引き出してくれる教員と看護師の連携
学校で子どものセルフケアの確立を目指す方法は、ケアの内容や子どもの状況によっても異なるため、色々な方法があります。当然家庭や主治医と連携して進めるのが大前提です。
加えて、リラックスしている自宅とは環境が違うので、学校でのセルフケアの確立に取り組むには、十分な準備も必要です。
看護師だけで取り組むのではなく、担任を中心とした校内の多職種で協働して行う事が大切だと私は捉えています。
子どもの「やる気」を引き出すという部分については、当然看護師よりも教員のほうが得意です✨
教員は「子どもに教える」プロですから、学校でのセルフケアの確立については教員に「プロのワザ」を発揮していただく事が成功の鍵を握っていると言っても過言ではない✨と私は思っています。
例えば、子どもと大人の距離の取り方や子どもへの声かけのタイミングを考えた時に、看護師は子どもの横で距離を詰めて「次は?」「そうそう」「ここだよ」などと次々と子どもに話しかけ、手が止まりそうになったらすぐに看護師から手や言葉を出して誘導する、という傾向があるように私は思っています。(私も同じです)
おそらく看護師は「困らないようにしてあげたい」と考える傾向があると思います。
これを教員ならどうするだろうか?と考えてみます。
恐らく教員なら、子どもとは少し距離をとって、まずは子どもに「やってごらん」と言って見守る、という支援方法をとるだろうと想像します。もちろん教員も子どもが手順書と違う事をした時は安全面を最優先して修正しますが、子どもが考えている時は、おそらく声を出さずに、子どもが自分で判断するまで見守るだろうな、と思います。(当然子どもの状況によっても異なりますが…)
教員は子どもが自分で判断できたという事を褒めたり、あるいはどうしてそのように考えたのかを質問するなど、教員としての経験を元に子ども自身が自ら目標に向かっていけるように子どもを「導いていく」方法を熟知しておられると思います。
そういった教員の関わりが子ども達の「やってみよう!」という意欲を引き出していきます。
学校でのセルフケアの確立は、看護師だけで行うのではなく、看護師と教員がそれぞれの得意分野を活かして連携する事が大事です。
まとめ
学校でセルフケアの確立に取り組む事は、単に子どもが「ケアの手順を覚える」事だけがゴールではないと思います。
子ども達が自立に向かう中で「心も育まれていく」というような教育活動と捉える事もできる、と私は考えています。
セルフケアの確立を目指す取り組みでは、教員の専門性である指導力を発揮していただきその子の心が成長し自己肯定感が高まる事を目指す教育活動として計画していくことが大事ではないでしょうか?
計画を検討する際には、看護師と教員と養護教諭が情報を共有し、協働で取り組める事が理想です。
看護師としては、何かを「してあげる」事だけが看護ではなく、看護師と子どもの距離がだんだんと遠くなり、看護師の「やる事がなくなっていく」ように計画する事も学校においては大事な看護だと私は思います。