今回は、学校で勤務する前に小児科の外来での勤務経験があるベテランの看護師さんと意見交換をする事ができました。小児科外来での勤務経験は、当然学校での勤務に役に立つことは沢山あります。それだけでなく、学校で勤務した事で、子ども達や保護者さんについて、「今まで外来で勤務していた時には自分が気づいていなかった事が色々あるんです」とその看護師さんはおっしゃっておられました。
病院やクリニックの小児科外来でも沢山の看護師達が活躍しています。私自身も随分前の事にはなりますが、病院の小児科外来での勤務勤務経験もあります。外来では限られた時間内で、限られた空間で、必要な情報を収集し、必要な情報を提供しなければならないため、小児科であっても、看護師は保護者さんとのやり取りが中心になってしまう傾向があると思います。
また、子ども達にとっても、病院やクリニックの外来は気持ち的には「安心できない場所」なのだろうと思います。おそらく外来の看護師さんが優しく声をかけても、子ども達は「採血なのか?」などど、緊張気味な表情になっている事が多いのではないかな、と思います。
今回意見交換をさせていただいた看護師さんは、学校に入職した時に、子ども達の様子や表情を見て「外来で会う子ども達の表情と、学校で見せる子ども達の表情は全く違う」という事に気づいたとの事でした。
子ども達は学校では良くおしゃべりするんですよね…
その看護師さんも私の経験と同様「外来では主には保護者と話していたので、子ども達を話す時間は少なかった」との事でした。それが、学校での仕事を始めた直後に、偶然、勤務校に通学している子ども達の中に、以前勤務していた小児科外来に通院していた子がいて、その子が学校ではしっかりとおしゃべりしている様子を見かけたそうです。学校でのその子の表情が、外来で見ていたその子の表情や様子とは全く異なっているという事を目の当たりにした時にびっくりしたそうです。
学校では子ども達の表情や表現の仕方はとても豊かなんだという事を知れた事で、外来では子どもの一部分しか捉えていなかったという事がわかったし、その時の自分の体験は、看護師として貴重な気づきになったとの事です。
子ども達の様子から先生方の子ども達への関わり方に関心が出てきたんですよね…
学校で、しっかりとおしゃべりしている子ども達を見た事で、学校の先生方はどんな関わりをして、子ども達のこんな姿を引き出す事ができているのだろうか?という気持ちが、自分の中に生まれたそうです。先生方の様子を見るだけでなく、指導のじゃまにならないよう、授業の合間を見て、先生に色々話しかけるようにしたそうです。「先生も色々教えてくださったので、先生方が、その子の特性を活かした指導を計画し、実施している、という事がだんだんわかってきた感じ」との事です。
「その子が先生方の指導で成長していっている姿を、看護師として共有できている事が、私がこの仕事にハマった理由ですね」と話してくださいました。この言葉は、別の地域の学校で働くベテラン看護師さんからも良く聞かれる言葉です。学校で働くベテラン看護師さんは、それぞれ別々の地域で働いているのに、【この仕事の面白いところ】については同じような表現をされますので、私は不思議だな〜と思うと同時にスゴイな~と感じます。
まとめ
学校で働く看護師が「学校教育」や「教員の指導」に関心を持つかどうか?は、看護師が学校で働く上では重要なポイントだと私は考えています。私の肌感覚ではありますが、看護師の学校教育への関心の有無は、看護師の学校への定着に大きく影響をしているとも思います。
しかし、学校で働いている看護師全員が入職前から学校教育に十分な関心を持った上で、学校での仕事を開始している訳ではありませんし、むしろ、学校教育に関心を持った上で、学校に入職してくる看護師の方が割合としては少ないのではないかとも思います。
今回意見交換をさせていただいたベテラン看護師さんも「小児外来の経験を活かして子どもに関わりたい」と入職時は考えていたそうです。しかし、学校で働き始めてから前述のような体験をした事をきっかけに、学校教育や障害児教育に関心を持ち始め、教員がやっている事を知りたいと思い、教員とのコミュニケーションの中で、自ら、学校での看護師の役割や立ち位置を理解していった、という事だと思います。
今回の看護師さんと意見交換をさせていただいた事で、学校で働く看護師自身が入職当初から学校教育や障害児教育に関心を持つためにはどうすれば良いか?については、まだまだ検討すべき事があるように感じました。