2学期が始まってもうすでに2週間以上が経過している地域もあれば、9月1日に始まったところという学校もあると思います。
先日2学期が本格始動したばかりの特別支援学校に伺う事ができました。
そして看護目標と看護計画を作成し担任の教育目標とリンクした学校らしい看護を実践している看護師さんのお話を聞かせていただきました。
担任が教育目標を見せてくださいました
その看護師さんは学校に入職当初は学校での自分の役割がイメージできなくて「看護師はただ単にケアをするだけなの??」というモヤモヤした気持ちが続いていたそうです。
おそらくそういった気持ちになった、あるいはなっている学校の看護師は多いのではないでしょうか?
「ケアをするだけが看護なの?」
看護師として思う事を担任に言った方がいいのか?言わない方がいいのか?随分悩んだそうです。
そんな時に担任の先生と医療的ケア児の「緊急時の対応」の行動計画について話す場面があったそうです。
その時に担任が緊急時に備えて子ども自身にもつけて欲しい力についての教育目標を看護師に共有してくださった事との事です。
担任は緊急時について、日々の子どもへの指導の中に自立を目指した取り組みを取り入れる事で、子ども自身も参画するプランを立てている事をその看護師さんは理解したそうです。
その看護師さんは自分の捉え方とは違う学校らしい取り組みに気づき、そこから「こういう事もできるんじゃない?」と色々考え浮かんできて、モチベーションが上がっていく感覚になったとおっしゃっていました。
担任が立てている教育目標を見せてもらった事で、それまでばぼんやりとしていた担任の考えがわかり、担任と意見交換がしやすくなったとの事でした。
担任と話し合う事で学校らしい看護計画がイメージできます
具体的には「気管カニューレ」事後抜去時の対応について担任とともに子どもも参画して取り組んでいて、その取り組みは2学期も継続しているそうです。
カニューレが「抜けてしまった後どうするか?」に対して準備しておくだけでなく「抜けないようにするには何をすべきか?」という取り組みも考えたそうです。
もともと子ども本人が自分自身のカニューレの事をかなり心配しているという様子や担任からの情報提供から、まずは子ども自身が看護師を信頼する事で、看護師がきちんとカニューレベルトのチェックをする事ができるし、子どもとコミュニケーションを取りながら一緒に確実に確認する、という事もできると考えたそうです。
子ども自身が参画する取り組みを計画した事で、担任と子どもと看護師が一緒になって常日頃から事故を防止する取り組みに変化していったそうです。
そういった取り組みを続けた事で「カニューレベルトやYガーゼの確認をして欲しい」と子どもの方から看護師に依頼する場面も出てきたとの事です。
「初めてその子が自分から看護師のところに来てくれた時は嬉しかったですよ~」
そういった子どもの変化は「子どもが看護師を信頼し始めた現れだと感じるとともに、看護師としてのアセスメントを担任と共有し話し合う事で、学校らしい看護計画をイメージする事ができるようになったと教えてくださいました。
まとめ
文科省は平成31年3月の「学校における医療的ケアの今後の体制について」の中には、学校で働く看護師の役割の一番始めに「医療的ケア児のアセスメント」と書かれています。
学校で働く看護師には学校らしいアセスメントができる能力が求められます。
学校らしいアセスメントをするには担任の考えを知る必要があります。
今回お話を聞かせてくださった看護師さんは担任と話し合う時間を積み重ねる事で、看護師としても日々目標を持って仕事に取り組めるようになったとおっしゃっていました。
どうすればこの担任の先生の指導を支える事ができるのか?色々考えが浮かんでくるんですよ~と話してくださいました。
この学校ではこの取り組みをきっかけにケアの実施記録とは別に看護計画(看護過程)としての記録も始めていて、看護師チームとして看護の評価が出来ている事が素晴らしいと感じました。