学校での医療的ケアの自立に向けた取り組みって看護師だけでやることなのかな?

今回は小学校で働くベテラン看護師さんと意見交換をする事ができました。その看護師さんは学校で医療的ケア児が自分自身でケアが実施できるようになるための取り組みをしておられました。看護計画を自立支援に関する内容で立案し、子どもの状態を丁寧に評価しながら段階的に進めておられました。

ただ、お話の中では、自立に向けた取り組みについては担任の先生との連携の様子が伺えなかったので、もしかすると看護師だけで取り組んでいるのかな?という疑問を感じました。学校でのケアの自立について、担任と完全に切り離して看護師だけで実施しているならば、それは学校教育と切り離された状態になっているのでは?と私は思ったので、そこをもう少し掘り下げてそのベテランの看護師さんからお考えを聞かせていただきました。

目次

「処置」について担任と共有する必要あるの?

その看護師さんとの意見交換の中で、学校での「医療的ケア」は「処置」として看護師が担当している、という言葉がありました。確かに病院なら「処置」なのですが、私はここになんとなく引っかかりを感じました。「処置だから看護師でしょ」という捉え方は、ま、確かにそうなのですが、「ここは学校」という視点ではどうでしょうか…

例えば「気管内吸引」や「導尿」というケアは、病院で働く看護師にとっては「処置」のひとつです。「処置」を安全に実施するための「手順」について、準備から後片付け、あるいは観察や記録などを一連の流れとして、看護師はその「処置」をひとかたまりでイメージします。看護師が「導尿は実施済です」と言う時は、基本的には準備から後片付けまでの一連の流れが終了している事を意味しますので、ひとかたまりで捉えています。

もちろん患者さんが退院後に自宅でも「処置」が安全かつ確実に実施できるよう、入院中に看護師が患者さんやご家族に「処置」の手順等を説明し練習をしていただく、という業務も病院では看護師が行います。

つまり、患者さんが退院後も自宅で続けなければならない「処置」がある場合は、退院準備として、実施者を看護師から患者さん自身、あるいはご家族に移行する、という事を行いますので、これも大事な看護です。

「処置」について担任と共有する必要はあるのか?という今回のベテラン看護師の疑問に、「処置」の実施者の「移行」を、学校教育における「自立活動」で説明できないだろうか?と考えてみました。

「医療的ケア」の自立に向けた取り組みって学校教育の中ではどういう捉えなの?

私は、学校で行われる「医療的ケア」は実施者が誰であっても「教育活動」だと捉えています。なので、今回の、学校で子ども達が自分で自分のケアを実施できるようになる事についても「教育活動」という視点で考えてみようと思いました。

まずは、自分で医療的ケアが実施できるようになる事の「教育的な意義」について、担任は保護者と連携し、学校の中で教育活動として取り組むかどうか、という判断を、看護師が看護計画を立案するよりも前に行うべきだと思います。つまり、学校教育として自立に関する指導を担任が計画した上で、その計画の一部を看護師が担うというイメージです。担任が教育目標を考え、子どもが目標に到達するための指導を行い、評価する、という事が、学校教育における体制だと考えます。医療的ケアについて自立できるための取り組みを、担任は一切計画していなくて、看護師だけが取り組み、看護師だけが評価をする、という事は学校教育の枠組みにおいては、ないはずです。学校においては、看護師は必ず担任とともに計画し実施及び評価をするものだと考えます。

私がこのように捉えるのは、こういった取り組みは、学校教育においては学習指導要領の「自立活動」という指導の中に含まれる取り組みだからです。

日本訪問看護財団「学校における医療的ケア実施対応マニュアル」
マニュアルの第Ⅰ章に自立活動に関する説明があります
学習指導要領「自立活動」の区分の例

まとめ

「処置」なのに担任と共有する必要はあるの?という看護師さんの疑問に対する答えとしては、学校では「教育活動」として行っているので、担任と共有する必要があります、となります。

学校で子どもが自分で「医療的ケア」を実施できるようになる取り組みは、その子の成長発達が最大限に促され、人格の形成につながる「教育活動」だと私は捉えています。これが「自立活動」という学習なのだと思います。

もちろん「処置」でも「医療的ケア」でも、やる事は同じですが、子どもの場合は学校で「自分でできるようになる」という事に教育的な意義があるのだと思います。更には「処置」の始めから終わりまでを全部一人でやりきれる状態だけを「自立」と捉えるのではなく、一連の流れの中の一部分だけであっても、自立活動の項目にあるように、子ども達が「自分の意思や希望を伝える」ことができたり、「自己肯定感の向上」だったり「信頼関係の構築」につながったりする事を「学びの目標」と設定した上で、学校では「医療的ケア」を教育活動と捉える事で、教員と看護師が互いの専門性を活かし、連携して取り組む事として理解できるのだとと思います。

今回のベテラン看護師さんとの意見交換の中で、私は、学校での子どもの自立に向けた取り組みを看護師としてどのように理解をすれば良いかを整理するきっかけをいただく事ができました。

日本訪問看護財団 学校における医療的ケア実施対応マニュアル(看護師用)👉https://www.jvnf.or.jp/mext19-caremanual.html

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