夏休み最終の土曜日に千葉県で開催されました「医療と教育の研究会千葉」に参加をさせていただきました。
この勉強会は歴史のある会との事で、千葉県立の特別支援学校における医療的ケアを必要とする子ども達の教育について教員の方々がメインとなって知見を深めてこられた勉強会です。
コロナ禍を経て3年ぶりに会場に集合するかたちでの開催という事で、若い先生方からベテランの先生方まで沢山の教員の方々が参加をしておられました。
教員の視点での発信は学ぶ事がたくさんありました💕
この勉強会に私は受講をさせていただく立場での参加だったので、じっくりと先生方の実践発表を聞く事ができました。
特別支援学校の教員の方々による医療的ケア児の教育の実践発表という事で、とても興味深く学びが沢山ありました。
「医療的ケアを自立活動として捉え指導に組み込んでいく」という、例えば「痰が増えてきた」子どもの実態があった時に、それを教員は指導的な観点でどのように捉え、どういった自立活動の指導につなげていくか、という実践を紹介してくださいました。
これはまさに「教員の専門性」の部分です。
教員がどういった視点で子どもの実態把握をし、指導すべき内容を整理し、指導方法を組み立てて指導を実践しているか?という教員の頭の中が、今回の実践発表の中に詰まっていました。
「痰が増えてきた」という情報を看護師がキャッチした時の看護師の頭の中は、教員の頭の中とは色々違うところがあります。
その違いは「子どもへの声かけにも表れていると思う」と会場で私と意見交換をしてくださった先生が話してくださいました。
吸引をする時の看護師の子どもへの声かけは「しんどいけどちょっと我慢してね~」という感じで、吸引は「我慢」する行為という発信だけど、教員は「吸引したらスッキリするよ~良かったね~スッキリしたね~」と声をかけるとの事です。
なるほど~です。
看護師は「すみやかに問題を解消する」という発想ですが、おそらく教員は「子どもに共感し気持ちを育む」という発想なのだと思います。
そういった違いが子どもへの声のかけ方にも出ているというお話は、私も気づいていなかった点です。
同じ「痰が増えてきた」子どもを見ていても、教員と看護師は違う捉えをしていて、それぞれのアセスメントやその後のプランも異なっている、という事をお互いが知っておくという事は、教員と看護師が互いの専門性を活かして連携・協働するためには、学校現場ではとても重要な事だと、実感する事ができました。
教員が看護師に期待する役割について言葉で確認する事が大事です!
勉強会の後半ではグループに分かれて先生方と意見交換をする事ができました。
特別支援学校での経験が豊富な先生方ばかりで、皆さんそれぞれの学校で看護師と一緒に勤務をしておられます。
日々の子ども達への指導の場面で看護師とどのように連携すればいいか?何をどう伝えたらいいのか?先生方も色々なパターンを想定しながら同僚である看護師と「上手くいく距離感」について試行錯誤をしてくださっている事がお話の中にじみ出ていました。
私は学校で働く看護師の皆さんからも、担任や管理職の先生方に何をどう伝えればいいのか?悩んでいるというお話を頻回に聞きます。
教員も看護師も双方が言葉では十分に伝えきれていない?というもやもやした部分があるという事です。
今回勉強会に参加をさせていただいた事で、あらためて「教員が看護師に期待する役割」について「教員側から看護師に言葉で伝える」という事が大事だと感じました。
もちろんどこの自治体でも学校でも「看護師は医師が指示する医療的ケアを実施してください」と看護師に伝えています。
でもこの言葉だけですぐさま教員と看護師が同じ子どもをはさんで上手く連携ができるものではありません。
「このような子どもの姿を目指して指導を実践しているので、この指導を看護で支えて欲しい」という事を、「教員が看護師に期待する役割」として具体的に言葉で確認する事が大事だと感じました。
まとめ
今回はこの勉強会の会長である千葉県千葉リハビリテーションセンター/千葉県医療的ケア児等支援センター長の石井光子先生が、Nurse Fightの活動についても皆さんに紹介をしてくださいました。
石井先生は千葉県内の小・中学校における医療的ケアの体制についても発信をしてくださいました。
小・中学校で働く看護師は1校に1名だけの配置となっている場合が多く、看護師としての自分の役割や立ち位置がわからないという悩みも紹介してくださり、私からも少しNurse Fightの活動を紹介させていただきました。
今年の夏は私は様々な研修を担当させていただきましたが、あらためて「教員が看護師に期待する役割」とそれに対応できる「看護師に求められる能力」について、どういった研修をすれば看護師はその能力をつける事ができるのか?今後学校で働く看護師が学ぶべき内容についての示唆が先生方との意見交換の中に詰まっていると感じました。
今回この勉強会に参加をさせていただいた事は、私にとってはとても貴重な経験になりました。
千葉県医療的ケア児等支援センターぽらりす👉https://www.chiba-reha.jp/nursing/ikeajicenter/