先日、ある自治体の特別支援学校に伺いました。
その学校では医療的ケアの全体的な調整業務は養護教諭の先生が担当しています。
伺った時に看護師さんと養護教諭の先生との話の中で、生徒自身で自分のケアができるための練習場面の話が出ました。
生徒の様子を見て看護師は手助けしている、というお話しから、看護師としてはどこまで見守っていればいいのか?悩む💦という話に発展したので、皆さんが迷う場面について私も一緒に意見交換をする事ができました。
色々と気になるんですよね…
今回話題になったのは導尿が必要な生徒さんについて、学校で自己導尿の練習を「自立活動」の指導に位置付けて実施している場面でした。
その生徒さんの学校での導尿については担任の先生の指導のもと今は看護師も見守るという計画になっているようです。
導尿に使う物品を使いやすい位置に配置する事やケアの手順については、既に生徒さんの状態に合わせた流れで組み立てられているので、今はその計画にそって「練習中‼」です。
担当の看護師さんは「物品が落ちそう💦だったので(落ちないように)押さえました…」と話していました。
すると養護教諭の先生から「〇〇さん自身から(落ちそうだから)押さえてください、みたいな依頼があってから大人が動く、という感じの方がいいと思うんです…」というコメントがありました。
「担任は○○さんの自立を目指して指導しているので、おそらく〇〇さんに声をかけるタイミングも担任の思いがあるだろう」との事です。
養護教諭の先生は、担任はできるだけ生徒自身で物品の位置なども修正する事を体験させたいのではないか?と考えておられました。
確かに、先に看護師から助けてしまうとその生徒さんは「物品が落ちないようにする方法」を学ぶ機会がなくなってしまうという事になります。
看護師さんは丁寧にその生徒さんの動きを見ていて、確実に導尿ができるように補助しておられるので、看護師が補助した事で「確実に導尿ができた」という事になります。
しかし「練習中‼」という事で捉えると、補助してもらった部分は練習になっただろうか?という事になります。
看護師さんは生徒さんの動きを見ていると「色々と気になる💦」ところがあるそうですが、どこまで担任の先生に言うべきか?あるいは生徒さんを手助けするべきか?悩むわけです。
これは教員と看護師との専門性が異なる部分で、学校で働く看護師にとっては捉えるのが難しいと思います。
生徒自身が体験する事で学んでいく
自分で自分のケアができるように学校で練習をする事は、特別支援教育においては「自立活動」という学びに位置づいていて担任の先生の指導を中心に取り組みます。
特別支援教育だけでなく通常のカリキュラムにおいても「保健指導」として子ども達は自分の健康管理について学びます。
自分の体調について大人に伝えたり、疾患がある子どもについては薬の必要性を理解したり、医療的ケア児の場合は医療的ケアを行う必要性についてその子の成長発達段階に応じて理解する、という指導を子ども達は担任や養護教諭から受けています。
今回話題になった導尿を自分でできるように取り組む事も学校教育においては担任の指導に位置づいています。
では今回のように「物品が落ちそうになっている」場面において、物品が落ちてしまってから対応方法を考えるのか?生徒自身で気づくまで待てばいいのか?大人が手や口を出すタイミングはいつなのか?これは生徒の状況によって教員が個別に指導計画を立てます。
なのでこういった教員の計画を看護師が事前に共有させていただけると看護師も「待てる」と思います。
教員はバックアップ体制をとった上で「失敗する」という体験を通してどうすれば失敗しないようにできるか?生徒自身が自分で「上手くいく方法を考える」という生徒自身の主体的な学びにつなげる意図があると思います。
このような学校らしい指導の考え方をあらかじめ看護師が知っておけば、看護師も「どこまで見守ればいいの??」とモヤモヤする場面は解消できるのでは?と思います。
まとめ
今回伺った特別支援学校の看護師さんや養護教諭の先生とは具体的な場面で意見交換をする事ができました。
もしかすると看護師としては生徒が練習中であっても本当に物品が落ちてしまったらそれはもう「インシデント事例」と捉えるかも知れません。
「物品が落ちる事を防ぐ事ができなかった💦」という感じに看護師は捉えてしまうのではないでしょうか?
おそらく「二度と落ちないようにするための対策」を色々考えるのが看護師だと思います。
しかし看護師が考える対策は子どもの学びのじゃまになっていないかな?という視点が学校での看護にには必要だと思います。
「どこまで見守ればいいか??」の答えは学校においては担任や養護教諭の先生方との意見交換の中にあると私は思います。
今回伺った特別支援学校での意見交換は私自身考えを整理する機会となりました💕