昨年度に続いて今年度も沖縄県教育委員会主催の医療的ケア研修会に参加をさせていただく事ができました。
今回は新年度早々の研修を担当させていただきました。
新年度早々という事で、他校から異動してこられた養護教諭の先生や学校でのお仕事を始めたばかりの看護師さんも沢山参加しておられました。
始まったばかりですからまだ色々混乱している事もあるかなと思いますので、学校での医療的ケアの実施体制について、自分はまず何から手をつけたらいいのか?具体的に取り掛かるべき内容が皆さんそれぞれにイメージしていただける事を研修の目標にして内容を組み立てました。
学校教育を中心としたアセスメントって何?
昨年度の夏休み期間中に担当した研修会では「学校の看護師の役割」の部分を中心に説明させていただきました。
今回は昨年の研修内容をベースにして「学校の看護師の役割」の中でも特に「医療的ケア児のアセスメント」という看護師の役割の部分を深掘りしてみました。
「医療的ケア児のアセスメント」と言っても、学校は「教育の場」ですから「学校教育を中心とした観点でアセスメントをする」事が学校で働く看護師には必要なスキルだと私は考えています。
「学校教育を中心に」と言葉で言うのは簡単ですが、具体的にはどういう事なのか?病院や在宅で行う看護のアセスメントと違うのか?違うのならどこが違うのか?という部分を、今年度の研修で説明をさせていただきました。
看護師が「学校教育を中心としたアセスメント」をするには、看護師も「学校教育」を知る必要があると思います。
当然「学校教育」に関する事は、看護師だけで考えていてもダメです。
担任の先生方から教育活動に関する情報を提供していただく事で、看護師は「学校教育を中心としたアセスメント」をイメージする事ができます。
沖縄県の学校で働く看護師の皆さんが「学校教育」を理解する手立てとして、沖縄県教育委員会が公開している資料の一部を引用させていただきました。
特別支援教育における「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」を担任の先生が作成する際には、必ず子どもの実態把握をしておられます。
担任の先生が行う実態把握や教育的ニーズの抽出などについて、必要に応じて看護師と情報共有をしていただく事ができれば、看護師としても学校教育を中心としたアセスメントがイメージしやすくなる事を提案させていただきました。
沖縄県総合教育センター「自立活動ハンドブック」👉http://tokusi.edu-c.open.ed.jp/0a232eaaef8068a6a9e99f4afee7a9277558af3f.pdf
沖縄県教育委員会「個別の教育支援計画」活用の手引き👉http://tokusi.edu-c.open.ed.jp/sienkei.pdf
災害時を想定した避難訓練については計画の段階から多職種連携
沖縄県の学校での「台風」への対策は、予報を注意深く確認しながら早めに対応しておられるという事を伺いました。
加えて発生予測が難しい「地震」や「火災」を想定した避難訓練も、学校では学習として取り組んでいます。
こういった災害時や緊急時の対応は、どこの学校であっても看護師だけではどうにもならない場面です。
避難訓練を計画する段階から校内の多職種で連携しておく事は大事だと思います。
今回の研修の後半では「日本訪問看護財団 学校における医療的ケア実施対応マニュアル」の一部を引用して、学校や職種を混合する形でグループに分かれていただき、医療的ケア児を含めた避難訓練の実施計画について、多職種で取り組むイメージで活発に情報交換をしていただきました。
日本訪問看護財団 学校における医療的ケア実施対応マニュアル👉https://www.jvnf.or.jp/katsudo/kenkyu/2019/caremanual_nurse_all.pdf
まとめ
今回の研修には養護教諭の先生だけでなく管理職の方々も看護師さんと一緒に参加をしてくださいました。
グループに分かれた後半の意見交換時には、学校防災計画を作成する時点から医療的ケアに関する部分を看護師や養護教諭と連携して取り組む必要性についてお話ししてくださった管理職の方もいました。
新年度になって医療的ケア児が所属する学級や担任の先生が変わったり、教室の場所も変わった学校も多いと思います。
今回新しい学級での1年間が始まる最初の時点で研修をさせていただけた事で、1年の中で計画的に取り組むべき内容を整理していただく事ができれば、この時期の研修は良い機会になったのではないかな、と思います。