今回は特別支援学校で働くベテランの看護師さんにお目にかかり、今まで工夫してこられた事を色々聞かせていただきました。
その看護師さんは特別支援学校での長い勤務経験の中で、様々な医療的ケアに対応してこられたそうです。
日々の医療的ケアの実施だけでなく、看護師が不足した時は人材の確保の事や、子どもの状態に応じて、教員と看護師が上手く協働できる役割の整理、あるいは養護教諭との連携方法など、単に「医療的ケアを実施する」という業務だけではなく、関連する事についても沢山の時間を使ってこられた事も話してくださいました。
病院勤務の経験だけでは地域の事を何も知らないって事に気づきました
そのベテラン看護師さんは、学校で働くまでは、病院の小児科病棟で勤務をしていたとの事です。
病院を退院した後、子ども達は家庭や学校でどう過ごしているのかについて「私は何も分かっていなかった…」という事に、学校で勤務してはじめて気づいた、とおっしゃっていました。
そういった感覚を持つ看護師は少なくないのではないでしょうか?
「私は、学校で医療的ケア児に対応するようになってから、はじめて、地域の福祉サービスというものを知ったし、様々な職域の人が親子に関わっている、という事も、学校に来てはじめてわかりました。病院では、そういう事を知らなくても仕事ができたんですよね…でも病院の外ではそれではダメなんです……」
知っておかないといけないのに知らない!と気づいた時点から、この看護師さんは、色々な情報を検索し、学校で働くために必要な知識をご自分で獲得されたそうです。
そして、学校の業務の中で活用できるところまで、自己研鑽してこられていて、本当にスゴイ方だな~と思いました。
自分にはどんな知識が足りないのか?どうすればその知識を得る事ができるのか?その知識はどの場面で活用できるのか?を、自分自身で整理しキチンと組み立てながら情報収集をしてこられた、という事は誰にでもできる事でなないと思います。
「最近は、都会だからとか、都会じゃないからとかに関係なく、どこにいても今の情報を持っておかないといけないんだろうな、と思うんですよね…」
常にご自分の情報をアップデートする事にもアンテナを張っておられる方でした。本当にスゴイです。
看護師はケアを行うだけじゃなく話し合う時間を持つ事も大事だと思うんです
このベテラン看護師さんが勤務する学校は、近隣の特別支援学校に比べると医療的ケア児の在籍数が少なめの学校との事で、少人数の看護師で日替わりで勤務をしておられます。
日々の事はもちろん引き継ぎをキチンとしておられますが、「もっとこうした方がいいんじゃないかな~」とか「他に何か別の方法があれば共有して欲しいな~」というような、業務を改善できる部分があるのでは?と感じた時に「どう思う?」と看護師同士で意見を出し合う、という時間を生み出す事が案外難しいとおっしゃっておられました。
「急ぎじゃないけど、ちょっと同僚の意見を聞いてみたいなと思っても、まとまった時間が取りにくいんです。そうこうしているうちに、今度でいいか…になって、時間が経ってしまって流れてしまう、って感じですね。じっくり取り組む事ができないんです…」
日々のケアの安全な実施には直接的には影響はないけれど、看護師同士が意見交換をしたり、マニュアルを見直したり、というような、看護師チームとして高め合うような事に継続的に取り組む事ができれば、看護師自身も、この仕事にモチベーションを見出し、それが、この仕事のやりがいに繋がるように思う、とおっしゃっていました。
私も全く同感です!
まとめ
学校では看護師の皆さんは様々な勤務パターンでお仕事をしておられます。
家庭や子育てとの両立、あるいは、複数の職場で兼業しつつ、学校でも仕事をしておられる方は沢山おられます。
限られた時間の中で、どうすればチームワークを保ち、モチベーションを維持して、学校で看護師としての役割を果たす事ができるのか?
こういった現場での実践の中から、学校で働く看護師が役割を果たすために必要な知識や能力、あるいは安定する実施体制などは明らかになると私は思っています。
学校のベテラン看護師さんには、今までの様々な経験から得た知見や知恵が詰まっています。
私は今年も引き続き、あちこちの学校で働く看護師さん仁お目にかかって、色々な細かいお話を沢山伺っていきたいと思っています。