武蔵野大学看護学部看護学研究科4年生の学生さんの授業にゲストスピーカの一人として参加をさせていただきました。
大学の授業に呼んでいただく事ができたので、職場研修の時とはまた別のワクワク感があり、私は準備の時点からとても楽しみにしていました。学生さんのテンションってどんな感じなんだろう?とか、どのような組み立てにしたら、印象に残るかな?とか、ZOOMを使っての授業は、職員のオンライン研修と雰囲気は似ているのかな?とか、色々心配ではありましたが、実際に始まってみると、学生さんはサクサクとZOOMを使いこなし、学生さん自身がとてもクールにテンポ良く進行してくださり、私のほうが学ぶ事が多く、予想していた以上の収穫でした。
様々な社会人ゲストから現場の状況について講義
私が参加した授業は、4名のゲストスピーカーから順番にお話を聞くという設定でした。
小児看護や障害児看護の領域について①保護者の思いについて②障害児にとっての遊びの重要性について③訪問看護について④学校での看護についてを、それぞれ順番にゲストスピーカーからの講義を聴き、学生さんが疑問に感じた事や分かった事を講義毎に出し合って、ゲストを交えて意見交換をするという構成です。私は4人めのゲストスピーカーとして、学校での看護の部分を学生さんに説明させていただきました。
私の役割としては、学校において子ども達が友人関係や教員との関係の中で、学び合いつつ、生きる力を養い、セルフケア能力を高めていくという、子ども達の成長、発達における看護師の役割や、実際の支援内容を学生さんに具体的に説明させていただくというものでした。
まずは学校で働いている看護師の様子を動画や写真で見ていただき、更に教員が行う学校での指導の様子について、具体的な事例を使って説明をしました。
学校で行う看護は「学校教育を支える事が目的なのです」という事を説明した上で、教員が行う指導については学習指導要領の「自立活動」解説本に記載されている指導の例の一部を紹介させていただきました。
【インクルーシブ教育】からの共生社会の形成という観点で事前学習
学生さんは【インクルーシブ教育】から共生社会の形成につなげる、という観点で事前学習を実施していました。インクルーシブ教育に関する沢山の文献を調べ、そのメリットやデメリットについて、子どもの立場と大人の立場のそれぞれではどうなのか、あるいは当事者である子ども達の立場と周りの子ども達の立場ではどうなのか、などについて調べて分かった事を発表してくださいました。
障害や病気とともに生きる子ども達が、学校で学ぶ、という状況や、子ども達の学び方についてをイメージするために、学生さんは色々な資料から学習し、自分自身の小中学生の頃の体験も合わせて説明をしてくださいました。
医療的なケアが必要な子ども達にとって必要な支援と、その周りの子ども達にとって必要な支援は、それぞれどういった支援なのか?という事についても意見交換をし、ゲストスピーカーである私にもたくさん質問をしてくださり、活発な意見交換ができました。子ども達が学び合う事の意義や、そこに関わる看護師の役割、について、私が用意した資料や説明を通して、学生さん自身に学習前と後で変化した事があれば、この授業における私の役割を少しでも果たす事ができたのかなと思います。
学校の看護師の存在を知る事ができた
今回参加した学生さんは、この学習をするまでは学校で働く看護師の存在を知らなかったと、感想の中で述べておられる方もいました。今回の授業で学校の看護師の存在を知り、更には、看護師が様々な場所で活躍しているという事もわかった、という感想を聞かせてくださいました。
今回出会った学生さんに、学校で働く看護師の存在をアピールできた事で、今回の機会は私自身の目的の達成にもつながりました。学校という場所は看護師の就職先としては、まだまだ周知されていませんが、こういった機会を使って少しずつでも若い世代にも認知度が上がっていって欲しいと思います。
これから社会に出ていく学生さんたちが、人生のどこかで、もしかすると看護師として学校で働くという事を選ぶ時が来るかも知れません。その時に今日のこの授業の事を思い出していただけるととても嬉しいです。
まとめ
今回の経験は、私にとってもとても学びの多い経験となりました。インクルーシブ教育に関する事前学習からの学生さんの発表の中で、親世代の意識はどうなのか?や、子ども達の疑問や問いに大人達は丁寧に説明できているか?という疑問が出てきた事についても述べておられました。これには、私はハッとさせられましたし、鋭いところを指摘していると思います。
障害のある、なしに関わらず、子ども達が学び合っていくには、子ども達の疑問や問いに対して、その場にいる大人達が子ども達に丁寧に説明できる、という覚悟と準備が必要だと私は思っています。子ども達同士だけで、何となく自然にお互いの違いを認め合える、というものではなく、そこには、大人達の丁寧な説明があるから、子ども達は子ども達の速度で、ひとつひとつ納得しながら、理解をしていくのだと思います。それがなければ、共生社会の形成を目指すのは難しいのでは?という、大人達へのメッセージが、今回出会った学生さんからもらえたような気持ちになりました。
武蔵野大学看護学部👉https://www.musashino-u.ac.jp/academics/faculty/nursing/