2学期が始まって早々の短縮授業期間の午後を使った研修会という事で、さいたま市教育委員会主催の市立特別支援学校で働く看護師の皆さんの研修会に講師として参加をさせていただきました。しっかり感染予防対策をとった上での、久しぶりの集合研修だったので、緊張もありましたが、直接皆さんの表情や雰囲気を確認しながら説明できる機会となりました。自分の説明のどの部分でうなずいてくださっているのかや、伝わっていないのでは、という感じを見ながら、自分自身の話の構成などを検証するためにも大変貴重な機会となりました。
2学期が始まって早々に開催される大事な研修会
さいたま市教育委員会では毎年度、この時期に市立特別支援学校で働く看護師のための研修会を実施しておられるそうです。今回は医療的ケア担当教員の先生も看護師の皆さんと一緒に参加をしてくださいました。
2学期が始まって早々のこの時期の研修は、子ども達にとって2学期も充実した学びになるために、先生方や看護師の皆さんは「取り入れられる情報や知見を持って帰りたい!」と研修会に期待をして参加してくださっていると思います。それは、研修会を企画する教育委員会担当の方も同じ思いです。
今回の研修会については1学期中にご担当の方から私にご依頼をいただきました。その時点で、私の方からも、さいたま市立特別支援学校で働く看護師の皆さんの勤務体制や、業務内容についての情報収集をさせていただきました。研修に対する現場のニーズについて、打ち合わせの段階から担当の方と何度も話し合いをし、実際に学校にも伺わせていただくなど、研修の企画にも関わらせていただきました。
学校での看護師の立ち位置の理解が難しい…
事前に学校を訪問させていただい時には、もちろん看護師によって個人差はありましたが、教員と看護師が一緒に働くなかで、お互いの役割の違いはわかっていても、看護師としての立ち位置をどのように理解すればいいか、という部分が、しっくりきていない方もおられるようでした。
そういった事もあり、他の自治体での研修と同様に、今回の研修においても「教員と看護師の連携・協働」に関するテーマでグループに分かれて意見交換をしていただく内容にしました。今回は医療的ケア担当教員も参加をしてくださいましたので、私も教員と看護師の両方の立場からの意見交換ができる事を期待して研修を開始しました。
議論が進みやすくするように架空のケースを提示し、そのケースへの対応方法について意見交換をしていただきました。架空のケースについての話から、それぞれの学校での教員と看護師の連携の部分において、今後工夫ができる事は何か?等について話を広げて、フリーな感じで意見を出し合っていただきました。
教員と看護師が情報共有する時間を生み出す事が難しい…
教育委員会担当の方が教員と看護師が混在するグループ編成にしてくださった事で、どのグループでも熱心な意見交換になりました。中にはホワイトボードを使って状況を図で整理しながら話し合うグループもあり、本当に素晴らしいなと思いました。
これは、校内においてヒヤリハット事例を分析し、再発防止策を検討していく時にも大変有効な方法だと思います。複数の出来事が重なって発生していたり、関係する人が多くなっている場合などでは、まずは、その複雑に絡み合った状況を一つ一つ整理します。そしてそれらの関係性を図で書いてみるという作業を、職員間で共有しながら、みんなが同じものを見て、俯瞰して考える事は、非常に有効な手立てだと思います。
皆さんでしっかりと意見交換をした後に、各グループから発表をしていただきました。やはり、今回の研修においても、教員と看護師の連携・協働については、教員と看護師が情報を共有しておく事は重要だという意見にまとまりました。しかし同時に、そもそも教員と看護師が情報交換をする時間を現状の業務の中からどうやって生み出せばいいのか??という課題も出てきました。これは、他の自治体で同様の研修を行った時も、同じ内容が課題として出てきます。
何を目的として、どの時期に、どのメンバーで集合すればいいのか?そういった場を誰がとりまとめればいいのか?教員も看護師も互いに多忙で、勤務時間にも限りがある中で、どこから、そういった情報交換をする時間を生み出せばいいのか?という課題は、特に教員の方々からは良く出てくる意見です。
学校毎の事情に応じて、様々な方法を検討する中で、急激な変化をもたらす改革はできない、と思います。しかし、教員と看護師が連携・協働していく事を目指して、具体的に実現できそうな事からスモールステップで、検討を始めるだけでも前進ではないかというコメントを私からさせていただきました。
まとめ
今回の研修によって、2学期中にひとつでも取りかかれそうな事がありそうだ、と思っていただければ良いなと、皆さんの発表を聞かせていただく中で感じていました。
学校での看護師の立ち位置や役割を、単に言葉で説明する事は簡単ですが、皆さんそれぞれ自分の職場の中で、具体的に看護師の立ち位置や役割を整理し、かつ職員間で共通の認識になるまでは、時間を要すると思います。
今回研修会に参加してくださった看護師や教員の皆さんも、当然「子ども達のために」という目指す方向は同じなので、この研修が、互いの専門性を活かした連携・協働体制の定着を目標にした取り組みの始まりのきっかけになれば良いなと思います。